水素吸入器で「体内爆発」?2026年のMiZ社論文についての発表と6件の事故報告を冷静に検証してみた

この記事を書いた人
スイスピ管理人 KON(一般財団法人日本分子状水素普及促進協会個人会員/一般社団法人水素健康推進協会認定 水素健康インストラクター )
子供のころから敏感体質・虚弱体質に苦しんできたのですが、水素と出会ったのをきっかけにして体質がかわり、毎日をフルに活動できるようになりました。
そこから水素の医学研究や様々な製品にも興味を持つようになり、一般社団法人水素健康推進協会認定講師『水素健康インストラクター』の資格をとるまでになってしまいました。
当サイト「スイスピ」では私の個人的な体験や主観をもとに記事を作成しており、広告リンクを含む製品の紹介も行っています。

2026年、水素業界に話題を呼んだひとつの論文が発表されました。

水素吸入器メーカー・MiZ株式会社が慶應義塾大学と共同で発表した研究で、「高濃度の水素吸入器を使うと、体内で爆発が起きる可能性がある」と主張するものです。

YUIさん

「体内で爆発」!?それって本当なの?

「体内で爆発」なんて聞くと、びっくりしますよね。

この記事では、MiZ社の発表で根拠とされている事例と、補完として示されている6件の事故をひとつひとつ丁寧に確認しながら、

「実際のところ何が起きたのか」
「どんなことが言えるのか」

について、冷静に整理していきたいと思います。

管理人KON

結論を先に言うと、通常の使い方での「体内爆発リスク」は論文の主張よりも限定的で、恐れすぎる必要はありません。

ただし特定のタイプの機器については注意すべき点もあります。一緒に見ていきましょう。

もくじ

まずはじめに、水素が爆発する条件とは?

まず、水素が燃焼・爆発する条件について簡単に触れておきましょう。

水素が爆発するには、以下の3条件がすべてそろう必要があります。

  • 水素が爆発範囲濃度で存在する(空気中4〜75%)
  • 酸素が存在する
  • 着火源がある(火花・炎・静電気など)

逆にいうとこの3つのひとつでも欠ければ、水素が燃焼・爆発することはないわけですね。

▼更に詳しい内容については、以下の記事でまとめています。
>>水素吸入器の爆発リスクを徹底検証!リスクについての研究論文と安全な水素吸入器の選び方

管理人KON

この条件をおさえた上で、MiZ社の論文の内容を見ていきましょう。

MiZ社の「体内爆発」論文とは

こちらが2026年に発表された、その論文です。

論文タイトル:Preventable In-Body Hydrogen Explosions from High-Concentration H₂ Inhalers in Japan
(「日本における高濃度水素吸入器による防止可能な体内水素爆発」)

掲載誌:International Journal of Risk & Safety in Medicine(2026年1月)
著者:MiZ株式会社 × 慶應義塾大学 環境情報学部 武藤佳恭教授(共同研究)
論文要旨https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09246479251414573

MiZ社はこの論文に合わせてプレスリリースを発表しています。
>> MiZ株式会社 プレスリリース(PR TIMES)

本記事は公開されている論文要旨(Abstract)および上記プレスリリースをもとに書いています。

論文を通じた主な主張

この論文を通じて、主に以下の内容が主張されています。

  • ブタを用いた実験で100%濃度(250ml/分)の水素を吸入させると呼気・血中水素濃度が爆発域に近づくことを確認したと報告。
    加えて、海外の医学誌に掲載された「体内爆発」とみられる事故報告1件と、関連する事故事例6件を掲載し、「高濃度の水素吸入器で体内爆発が起こる」と主張
     
  • 「100%水素を250ml/分吸入」は市販の水素吸入器に近い条件であることから、市販の高濃度水素吸入器(水素濃度:67〜100%)全般を危険視
     
  • MiZ社は自社製品を「空気で希釈し6.6%で供給する」設計にしており、「これが唯一安全な方式」だと主張

ここで「高濃度で危険」とされる水素吸入器には、「水素ガスのみほぼ100%」の機器と、「水素:酸素=2:1の混合ガス機(水素67%)」の両方、つまり、市販されているほとんどの水素吸入器が含まれます。

さらにMiZ社は論文に合わせて発表したプレスリリースの中で、次のように述べています。

体積比67〜99.99%の高濃度水素吸入器を使用した際、吸入器本体の爆発だけでなく、患者の鼻腔や肺など人体内部で水素が爆発するという事故が相次いで報告されています。

MiZ株式会社 プレスリリース(2026年)
YUIさん

「体内爆発」が、「相次いで起きてる」ってこと・・!?ほんとだとしたら大変。。

管理人KON

MiZ社の主張をまとめると、

市販されているほとんどの水素吸入器は「水素濃度が高いため危険」

❷そのような水素吸入器によって「体内で水素濃度が危険域に近づく」可能性がある

❸実際それによって【人体内部での爆発事故】が相次いで起きている

❹だから高濃度ではなくなるように空気で薄めたMiZ社の水素吸入器が、唯一安全な水素吸入器だ

ということになります。


「体内爆発」の根拠を確認する

ではまず、ショッキングに聞こえる「体内爆発」の根拠について見ていきましょう。

「高濃度の水素吸入器で体内爆発が起こる」という主張の根拠は、2つあります。

ひとつずつ詳しくみてみましょう。

①ブタ実験データ、根拠としては弱い?

まず① の「ブタ実験のデータ」については、いくつか注意して読む必要があります。

  • 「爆発濃度近くに至る」とされているが、具体的に何%に達したかは公開情報に示されていない
     
  • 「血中水素濃度が爆発濃度に近づく」という表現は意味をなさない
    (水素の爆発域【4 〜75%】は気体中の水素濃度の話で、血液中に溶けた水素には当てはまらない)
     
  • 呼気中の水素濃度については一定の意味はあるが、着火源(火花・炎など)が存在しない限り爆発は起きない

つまり①のブタ実験については、「水素が体内で一定濃度に近づく可能性がある」ことを示しているにすぎず、

  • 「体内で爆発が実際に起き得る」ことの実証にはなっていない

ように読めるのです。

そして、「実際に体内で爆発が起きる」ことの証拠として引用されているのが、海老名総合病院による1件の事故報告です。

次にその報告の中身を確認してみましょう。

② 唯一の「体内爆発」事例:海老名総合病院の報告

事例の概要
62歳女性。鼻カニューラで水素吸入をしながら、乳がんの患部に電磁波温熱療法(電磁波照射)を同時に実施。突然の爆発音と喀血が発生し、全肺葉に肺挫傷を確認。9日後に自然回復。

内容をみると、確かに深刻な事故です。

ただし、この事例には通常の家庭での水素吸入とは大きく異なる条件がありました。

電磁波温熱療法という外部着火源

「概要」にあるように、この事例では胸部への電磁波照射が同時に行われていたんですね。

つまり、電磁波によって局所的に生じた熱・エネルギーが外部からの着火源になった可能性が大いにあり得るわけです。

管理人KON

このように特殊なケースを根拠に
「高濃度の水素吸入器は体内爆発を引き起こす」
と結論づけるのは、少々強引な感じもします。

人体内水素爆発の事故事例」と表現されている6件の事故を確認する

次に、MiZ社がプレスリリース内で「人体内水素爆発の事故事例」として提示している6件の事故を確認していきましょう。

年月事故の説明機器
2015年1月「2度破裂して、聴力が低下した」不明
2016年2月「機器を持ち上げたところ、爆音を発して蓋が飛び、耳鳴りの症状」水素・酸素混合ガス吸入器
2024年1月「鼻に挿していた器具が爆発。顔面内骨折し通院中」高濃度水素・酸素吸入器
2024年9月「自宅で水素吸引機を使用中、大量出血し救急搬送。気管支に
穴が開きICUに入っている」
不明
2024年10月「水素ガス吸入器を使用中パンと音がして血まみれに。内臓組
織が破裂しICUにいる」
不明
2025年2月「エステ店で水素吸引を施術時に水素爆発して顔面複雑骨折」不明

※MiZ社のプレスリリースより抜粋/リンクは当サイトによる

消費者庁の事故情報データバンクの特性

まずおさえておきたいのは、これらの情報はいずれも、消費者庁の事故情報データバンクに登録されたものだということです。

このデータバンクは消費者からの任意の申し出を記録したものであり、必ずしも事故原因の調査が行われているわけではありません。

一部原因が確認されているものは、「事業者名」「商品名」等も表記されますが、上記6例について実際のデータバンクを確認したところ、そういった情報はありませんでした

つまり、上記の6事例については「具体的な機種名」「原因は何か」といった情報はなく、「消費者の訴えをただ記録したもの」だということです。

YUIさん

「消費者庁のデータ」と聞くと、調査され実証されたようなイメージをもっちゃうけど、そういうわけではないのね。

6件の事例の詳細|これらは「体内爆発ではない」?

では6件の事例が「人体内水素爆発の事故事例」といえるのか、詳しく見ていきましょう。

①②:「機器本体の爆発」であり体内爆発ではない

①(2015年)・②(2016年)は、いずれも機器そのものが破裂・爆発した事故です。

「水素吸入器を使っているときに機器が壊れた」という事故であり、「体内で爆発が起きた」こととはまったく別の話となっています。

③:水素・酸素混合ガス機の「機器周辺での爆発」

③(2024年1月)は使用機器が「水素・酸素混合型」と明記された唯一の事例で、顔面内骨折という重傷です。

「器具が爆発した」とあり、体内ではなく機器またはその周辺での爆発と考えられます。

④:爆発とすら報告されていない事例

④(2024年9月)については、この事例の「事故の概要」にある記載が、以下の内容がすべてとなっています。

父が自宅で水素吸引機を使用中、大量出血し救急搬送された。気管支に穴が開きICUに入っている。何が問題だったのか知りたい。

消費者庁 事故データバンク事故情報ID:0000496928

深刻な事態であることは間違いありませんが、報告者(ご家族)自身が「爆発があった」とは一言も述べていないんですね。

そしてこの件についても「原因の調査・究明」はなされていないため、「水素吸入器の体内爆発事例」として挙げるのは少々無理があると感じます。

⑤:ICU入院の重傷事例――「体内爆発」か「衝撃波被害」かは不明

⑤(2024年10月)は「水素ガス吸入器を使用中パンと音がして血まみれになった」ということで状況は確かに深刻ですが、使用機器の詳細や使用状況は不明となっています。

ここで参考になるのが、「爆傷」という概念です。

爆傷とは

爆発が体の外側で起きた場合でも、その衝撃波が体内を通過して 肺・気管支・内臓などを破壊することがあり、これを 「爆傷」と呼びます。 【爆傷とは】

この事例は「パンという音がした」ということからも、「体内で爆発が起きた」のではなく「機器・チューブ周辺での爆発の衝撃波が体内の組織を破壊した」=爆傷の可能性もあるように読めるんですね。

ただしこの事例も使用機器や使用状況が不明なため、断定はできません。

⑥:業務用機器・詳細不明

⑥(2025年2月)はエステ店での業務用機器の使用中に顔面複雑骨折という重傷ですが、使用機器・爆発状況の詳細はいずれも不明です。

ただ、この情報だけからは「体内で爆発」とは読み取れません。

「体内爆発」が「相次いで起こっている」は不正確では?

というわけで、海老名総合病院の事例も含め、全部で7つの事例が挙げられていますが、

  • 「人体内爆発」と明確に言えるのは海老名病院のPMC論文の1件のみ
  • しかもそれは「電磁波温熱療法」を同時に行っていた特殊なケース

ということになります。

管理人KON

これをもって「高濃度水素吸入器により、人体内で水素が爆発するという事故が相次いで報告されている」と表現するのは、いささか飛躍しすぎではないでしょうか。

「利益相反」の可能性?

ところで、「体内爆発の根拠がこれだけ限定的なのに、なぜここまで強い主張になるのか」——その背景を理解するうえで、ひとつ押さえておきたい事実があります。

この2026年論文も、引用されている2019年の先行論文も、著者の組み合わせは「MiZ株式会社 × 慶應義塾大学 武藤佳恭教授」です。

そして両論文とも、「MiZ社製品が唯一安全」という結論に至っています。

また、武藤佳恭教授の本来の専門はAI・機械学習・IoT・電気工学であり、水素医学・爆発工学の専門家ではありません。

必ずしも利益相反があること=論文の内容が間違い、ということではありませんが・・

ただ、「自社製品を有利にする立場の著者が書いた論文」として、内容を慎重に読む必要があることは確かだと思います。

とはいえ、爆発事故は実際に起きている|そのリスクをどう避けるか?

ここまでの内容から、「高濃度水素吸入による体内爆発」については、そこまで心配しなくてよいことが見えてきました。

ただ、とはいえ上記の6事例であったように、「水素吸入器界隈で爆発事故が起こっている」のはどうやらあり得る話のようです。

ではどうすれば「水素吸入器の事故」を避けることができるのか・・?

まず、もちろん「火気厳禁」を守る必要は最低限あるのですが、

「危険な爆発につながりやすい水素吸入器の条件」

については、水素吸入器の認証基準を定めている業界団体「日本分子状水素普及促進協会(JHyPA)」の基準が参考になります。

JHyPAの認証基準:「600ml/分」で線を引く理由

水素研究の第一人者である太田成男日本医科大学名誉教授が会長を務める 「日本分子状水素普及促進協会(JHyPA)」は、 信頼性の高い水素吸入器の認証基準を定めています。

>>認証事業|日本分子状水素普及促進協会(JHyPA)

中でも注目すべきポイントとして、水素ガスの流量(毎分の発生量)に関連した安全基準があります。

JHyPAの認証基準では、水素ガス発生量:200〜600ml/分未満のPEM式水素吸入器は (基本的に)無条件で認証される一方で、水素ガス発生量:600ml/分以上の機器については、追加の安全対策が求められています。

これは、流量(水素ガス発生量)が多いほど爆発リスクが相対的に高まる可能性を考慮しているためです。

流量(水素ガス発生量)が多いと、なぜリスクが高まるのか

管理人KON

流量が増加した場合に起こり得る2つのリスクを挙げてみましょう。

参考:ガス爆発災害の原因と対策|労働安全衛生総合研究所

❶ 爆発が起こる可能性が高まる

流量が多いと、何等かの要因で拡散が滞った場合、局所的に濃度が上昇しやすくなりま す。
これにより、空間内で爆発危険濃度(4%以上)に留まる可能性が高まります。
その結果、着火源が存在した場合に爆発が発生するリスクが増大します。

❷ 爆発の規模が拡大する

流量が多いと、爆発性雰囲気(爆発しやすい状態の範囲)が広がり、 燃焼可能なガスの体積が増えます。
これにより、燃焼エネルギーが大きくなり、 爆発の影響範囲が拡大する可能性があります。
(※ただし、爆発の規模は濃度や空間の形状にも左右されるため、流量だけで一概に判断することはできません。)

爆発性雰囲気とは:
空気中に存在する可燃性物質(ガスや蒸気)が酸素と混合し、特定の範囲内で爆発可能な濃度を持つ状態。水素の場合は、空気中の濃度が約4%~75%の範囲が該当。

現在市販されている水素吸入器のなかには、3,600ml/分4,800ml/分といった大量の水素ガスを生成する機器も存在します。

管理人KON

このような高流量の機器については「安全な取り扱いについて、より注意が必要」と言えるかもしれません。

爆鳴気(水素酸素混合ガス)のリスク

もうひとつ注目しておきたいのが、「発生するガスのタイプ」による構造的なリスクの違いです。

市販の水素吸入器には大きく2つのタイプがあります。

「水素酸素混合ガス」のタイプはよりリスクが高い?

上記❷の「水素酸素混合ガス」のタイプは「水素:酸素の割合=2:1」のガスが送られてきます。

この「水素:酸素=2:1」のガスは「爆鳴気」と呼ばれ、通常より燃焼しやすく、「点火すると轟音を発して爆発」する気体として知られています。(※コトバンク「日本大百科全書」より)

管理人KON

爆鳴気について、熊本大学の研究資料村上・伊東、国立国会図書館によると下記のように記されています。

  • 空気中の水素は527℃で発火するのに対し、「爆鳴気」は450℃で発火
  • 空気中の水素の燃焼速度は90m/sなのに対し、「爆鳴気」は1400-3500m/sの速度(音速の約4-10倍/マッハ4-10)で燃焼

    「この現象では、燃焼速度が音速を超えるため衝撃波を伴い燃焼する。
YUIさん

爆鳴気は「より燃焼しやすく、燃焼した際の爆発力も大きい」といえるのね。

6つの事故事例との一致点

とくに「燃焼速度が音速を超えるため衝撃波を伴い燃焼する」(マッハ4-10)という点は注目です。

先ほどの6つの事例を振り返ると、この「衝撃波を伴う爆発」との一致が随所に見られるからです。

事故事例は「水素酸素混合タイプ(爆鳴気)」だったのか?
  • ②と③の事例では機器の種類が「水素・酸素混合ガス吸入器」と明記されており、爆鳴気を発生させるタイプの機器であることがわかっています。
     
  • 爆音を発して蓋が飛び」(②)、「パンと音がして血まみれに」(⑤)、「水素爆発して顔面複雑骨折」(⑥)といった証言は 、音速を超える燃焼速度が生む衝撃波の特性と整合します。
     
  • ⑤「内臓組織が破裂しICU」という重篤なケースも、「体内で爆発が起きた」というより、機器やチューブ周辺で発生した爆鳴気の爆発が衝撃波となり、体内の組織を破壊した(爆傷)という可能性が考えられます。(「爆傷」参照)

もちろん、「事故情報データバンク」の登録情報については状況調査等がなされていないため、断言することはできません。

ですが、一般的に「爆鳴気」のほうがリスクが高いという事実はあり、

管理人KON

重篤な爆発事例は【水素酸素混合タイプ】だった可能性がけっこう高いのでは?

というのが個人的な考えです。

スイスピの「16機種比較記事」でご紹介している機種について

ちなみに、スイスピの16機種比較記事でご紹介している機種は、現時点では水素ガスのみを発生させるタイプを扱っています。

爆鳴気リスクのある水素酸素混合タイプを選ぶ際は、上記のような特性をふまえたうえで検討してほしい、というのが正直なところです。

具体的にどんなことに気をつけるべきか

ここまでの整理をふまえると、特に注意が必要なポイントが見えてきます。

❶「高流量×混合ガス(爆鳴気)」の組み合わせはリスクが高い可能性

JHyPAの基準にもあるような「流量」についての話と、「爆鳴気」の特性を考えると、以下の組み合わせは相対的にリスクが高くなると考えられます。

高流量 (毎分の水素ガス発生量が多い) × 水素酸素混合ガス(爆鳴気)タイプ


「高い流量がどれくらいか?」という点については、JHyPA(日本分子状水素普及促進協会)の600ml/分という線引が参考になるかもしれません。

>>水素ガス発生装置の認証|日本分子状水素普及促進協会(JHyPA)

❷ 「水素ガスのみ」(水素濃度99-100%)タイプは安全か?

では「水素ガスのみ(約99〜100%)」を生成するタイプはどうでしょうか。

このタイプは、機器から吸入チューブを通って鼻まで流れるガスがほぼ純粋な水素のみです。

爆発の3条件のうち「酸素 」が存在しないため、チューブ内で燃焼・爆発が起きることは物理的にありません。

水素の「拡散しやすさ」という性質

鼻元(吸入チューブの先端)では外気と混合するため、その瞬間に爆発危険濃度(4〜75%)の範囲を通過することになりますが、その場合でも、水素には非常に軽く拡散しやすいため滞留しにくく、危険濃度が維持されにくいという特徴があります。

水素には、空気より軽く、拡散のスピードが非常に速い性質があるため、漏れても瞬時に上方に拡散して引火の危険性は低くなります。

水素とは|水素事業 – ENEOS

また、万万が一、燃焼条件がそろってしまって燃焼・爆発した場合でも、爆鳴気の特徴である「衝撃波をともなう強い爆発」には至らないと考えられます。

密閉した狭い空間での長時間使用など特殊な条件がなければ、水素100%タイプのリスクは水素酸素混合ガスタイプと比べてかなり低いのではないでしょうか。

❸ 水素酸素混合ガス=危険とも限らない

「水素酸素混合ガスは相対的にリスクが高い」と書きましたが、だからといって「水素酸素混合ガス(爆鳴気)タイプ=すべて危険」ということもできません。

たとえば、水素酸素混合ガス機「ハイセルベーター ET100」(水素ガス発生量1,200ml/分)を製造するヘリックスジャパン社は、東京消防庁と共同で安全性評価実験を実施しており、安全性を担保しようとする姿勢が確認できる製品のひとつです。

>>火災予防条例第23条の裸火使用時等に関する安全性評価実験

また、ハイセルベーターシリーズは実際にがん治療を行う医療機関での使用実績があり、医療現場での使用中の事故は確認されていません。

参考:水素吸入器導入事例|ヘリックスジャパン

このように水素酸素混合ガスタイプでも信頼できる製品は存在します。

逆にいうと、爆鳴気タイプ(水素酸素混合ガス)の機器においては、こうした安全への取り組みやメーカーへの信頼性が、より重要な判断基準になるといえそうです。

結論

以上を踏まえ、水素吸入器を選ぶ際に爆発リスクの観点から確認しておきたいポイントをまとめます。

  • 発生するガスのタイプを確認する(水素ガスのみか、水素酸素混合ガスか)
  • 水素ガス発生量(流量)を確認する(高流量機はより注意が必要)
  • 安全性について信頼のおけるメーカーかどうかを確認する(第三者機関との検証実績、JHyPA認証の有無など)
YUIさん

「どんな機器か」だけでなく、「どんなメーカーが作っているか」も、安全性を判断するうえで大切な視点ね。

まとめ

以上、今回はMiZ社が2026年に発表した「体内水素爆発」論文についての発表内容を、根拠となった事例を中心に丁寧に確認してきました。

ポイントをまとめてみます。

発表内容を怖がりすぎなくてよい理由

まず、「体内爆発が起こる」というショッキングな発表内容について、そこまで怖がる必要はない理由についてまとめてみます。

  • 「体内爆発」と明確に言える事例は、7件中1件(海老名総合病院)のみ
  • その1件も、電磁波温熱療法という外部着火源が存在した特殊なケース
  • ブタ実験は「体内で爆発域の濃度に近づく可能性」を示すにとどまり、「体内爆発が起こる」ことの実証にはなっていない
  • 残りの6事例は、機器本体の爆発・機器周辺の爆発・爆発の記述すらないものが含ま れており、「体内爆発」とは言えないものがほとんど

つまり、普通に水素吸入をしていて「体内爆発が起こるリスク」は、この論文の情報を元にしても「ほぼないと言える」レベルだと読めました。

注意すべき点

とはいえ、今回の発表が提示してくれている内容をきっかけに、注意すべき点も見えてきました。

  • 水素吸入器界隈で爆発に関連する事故が起きていること自体は、否定できない
  • 特に「水素酸素混合ガス(爆鳴気)タイプ」は、純水素タイプと比べて着火しやすく、燃焼した際の爆発力(衝撃波)も大きくなる性質がある
  • 流量が多い機器ほど、リスクは相対的に高まる
  • 機器の種類・流量・メーカーの安全への取り組みを確認したうえで選ぶことが重要
  • 電磁波・熱を体に当てる医療処置と水素吸入の同時使用は避ける

とくに最後の「電磁波・熱を体に当てる医療処置と水素吸入の同時使用は避ける」は、私個人的には想像もしていなかった使い方でした。

唯一の「体内爆発」事例はこの条件下で起きているため、大事なポイントといえますね。

今回の発表内容への評価:せっかくの注意喚起だが・・

今回公開された論文要旨とそれについての発表内容にたいしては、「せっかく水素吸入器の安全性について注意喚起をしてくれているのに、論理展開があらくて残念・・」というのが率直な感想です。

簡単にまとめると・・

  • 機器の爆発なのに「体内爆発」だという飛躍
    論文要旨にも書かれているとおり、「複数の機器故障 (device failures)」は機器の爆発であり、体内爆発ではありません。これを根拠に「体内爆発リスクが確認された」とするのは、論理の飛躍に見えました。
     
  • 「実際の事故に基づく」と言いながら事故の内容が不明瞭
    プレスリリースには「実際に発生した爆発事故に基づいた考察が評価されている」という内容がありますが、その事故情報は「申告ベース・調査なし」のものでした。「どんな機器で・どんな状況で・なぜ起きたのか 」の検証なしに「実際の事故にもとづいた考察」とは言えないと感じます。
     
  • 「水素酸素混合ガス(爆鳴気)」と「水素ガスのみ」の違いを無視している
    「機器の爆発 」についても、水素酸素混合ガス(爆鳴気)と純水素ではリスクがまったく異なります。いっしょくたに「高濃度の水素吸入器」として批判しているのは、検証があらく感じました。

・・といった感じです。

なので、論文の要旨(abstract)に書かれている、

高濃度吸入器(>10% v/v H₂)は重大な爆発リスクをもたらす。

論文要旨(Abstract)Results(結果)より|MiZ株式会社×慶應義塾大学、2026年

という結論は、かなり「あらい論理」のように感じられました。

管理人KON

水素吸入器は、適切な機器を選び、正しく使えば、MiZ社の製品に限らずとも「安全に恩恵を受けられるもの」だと思っています。

この記事が、機器選びの判断材料のひとつになれば嬉しいです。

この記事を書いた人
スイスピ管理人 KON( 一般財団法人日本分子状水素普及促進協会個人会員/一般社団法人水素健康推進協会認定 水素健康インストラクター )
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