水素風呂や水素水製品で過去に注目を集めてきた『株式会社フラックス』が、「水素ガス吸入」においては他の機器と異なるユニークなアプローチの製品を販売しています。
水素ジェネレーター「フレアー」という製品です。
フレアーの最大の特徴は、これまでの水素吸入器で一般的だったカニューラ(鼻チューブ)を使用せず、空気中に水素を含ませて送風するという独自の技術にあります。
「鼻カニューラを使わない」というこの方法により、
- 何も顔につける必要がないという快適性
- カニューラの洗浄や交換が不要で、衛生面での問題がない
といったメリットが得られますが、同時に、
「鼻カニューラと比べて、どれほどの効果が維持できるの?」
「その効果を裏付けるエビデンスは十分存在するの?」
といった疑問もつきまといます。
今回はこのフレアーの特徴を詳しくご紹介するとともに、他の医療用水素吸入器メーカーさんに伺った話なども交えながら、フレアーの新技術は本当に期待できるものなのか?という点についても見ていきたいと思います。
フレアーを検討されている方は参考にされてみてください。
フレアーの特徴
まずフレアーのスペックは以下の通りです。
水素ジェネレーター「フレアー」のスペック表
価格 | 297,000円(税込) |
---|---|
水素ガス発生量 | 100ml/分 (30ml/分、50ml/分、100ml/分の3段階調整可能) |
水素ガス純度 | 99.99% |
使用できる水 | 精製水 |
運転時間 | 1時間・2時間・6時間タイマー(水素発生量はそれぞれ100ml/分、50ml/分、30ml/分固定) |
電解セル寿命 | 8000時間 |
水素水生成は? | 不可 |
サイズ | 幅150mm × 奥行155mm × 高さ285mm |
重さ | 約1.35kg |
保証期間 | 1年 |
では水素吸入器を選ぶ際の5つのチェックポイントから、フレアーの特徴を個別に見ていきましょう。
- 水素ガス発生量が十分に多いか?
- 連続して使える時間が長いか?
- メンテナンス方法は?
- コストパフォーマンス
- 安心して購入/使用できるお店(メーカー)か?
① フレアーの水素ガス発生量は最大100ml/分
フレアーの水素ガス発生量は、最大
- 水素発生量:毎分100ml
となっています。
水素吸入器の水素ガス発生量についてはいろいろな見方があり、詳しくはこちらの記事(「水素吸入器の水素ガス発生量、最適なのはどれくらい?【要注意】多ければいいとは限らない」)にまとめていますが、
水素ガス発生量をどう判断するか?については下の記事で詳しく書いています。
- 250ml/分が一つの基準となる可能性(慶応大の研究)
- 業界団体は「200ml/分以上(200〜640ml/分)」推奨
- がん治療では1200ml/分前後が使用されている
- 多ければ多いほどいいとは言えない(個人的見解)
- ちなみに個人的には100ml/分を使用中、将来的には増やしたい
上のような内容について書いていますが、「水素ガス発生量:100ml/分」というのは「もう少しあるといいな、という感じもするけど、家庭用としてはまずまず充分と言えるのではないか?」と思います。
ただし「フレアー」の場合は一般的な水素吸入器と違い、鼻カニューラを使わずに空気で飛ばす設計なので、水素濃度については割り引いて考える必要があるかもしれません。
(詳しくは後ほど見ていきます)
② 連続運転時間:フレアーの連続運転時間は3種類のモードによって異なる
睡眠中の使用などを考えると、水素吸入器のタイマーによる連続運転時間も気になるところです。
3つのモードによって、【水素ガス発生量】と【運転時間】が決まる
フレアーの場合は、3種類ある運転モードによって「水素ガス発生量」と「タイマーによる運転時間」が決まっています。
- 「おいそぎ」モード:水素ガス発生量100ml/分・運転タイマー1時間
- 「ゆっくり」モード:水素ガス発生量50ml/分・運転タイマー2時間
- 「おやすみ」モード:水素ガス発生量30ml/分・運転タイマー6時間
『水素ガス発生量』と『運転時間』を自由に組み合わせて設定することはできないのね。
タイマーは1・2・6時間の3とおり設定できるけど、それにともなって水素ガス発生量も決まっちゃうってことだね。
③ フレアーのメンテナンス方法
フレアーのメンテナンス方法は比較的シンプルで、主に以下の内容となっています。
1.イオンフィルター交換
イオンフィルターの交換が、運転約500時間ごとに必要です。
これは多くの一般的なPEM式の水素吸入器と同じですね。
2.精製水の入れ替え
普段は『水素生成にともなって減っていく精製水』を随時補充する必要がありますが、6ヶ月に1回は中の精製水をすべて排水して入れ替えることが推奨されています。
必要なメンテナンスとしてはかなりシンプルなほうといえますね。
④ フレアーのコストパフォーマンスは?
フレアーの価格は約297,000円(税込)となっており、水素ガス発生量100ml/分の家庭用水素吸入器としてはまずまず妥当な価格かな、と思います。
参考:水素吸入器の「価格と水素ガス発生量」比較
品名(詳細記事リンク) | 水素ガス発生量ml/分 | 価格(税込) |
---|---|---|
シェルスラン・プロ | 300ml/分 | 495,000円 |
ピュアラスキューブ プレミア | 250ml/分 | 448,470円 |
シェルスラン・エレ | 150ml/分 | 327,800円 |
フレアー | 100ml/分 | 297,000円 |
ラブリエエラン2 | 60ml/分 | 239,800円 |
ランニングコストは、
- 500時間ごとのフィルター交換(税込5,500円)
- 随時補充する精製水代
電気代をのぞくとこれくらいですね。
なお水素を生成させる電極部分の寿命が8000時間とされていますが、寿命到達後のパーツ交換費用等についての情報は公開されていないようです。
⑤ フレアーのメーカーの信頼性は?
フレアーを製造している株式会社フラックスは、水素関連製品で実績のある企業です。
これまでに、
- 水素風呂用水素生成器「スパーレ」
- 携帯型水素水生成器「ポケット」
などで注目を集めてきました。
そういう意味で、製品の品質や安全性について、メーカーとして基本的な信頼性を確保していると言えるでしょう。
フレアーのメリットと懸念点
フレアーは『水素を空気で包んで飛ばす』という革新的な技術を採用した水素吸入器ですが、ここでそのメリットと懸念点についてまとめてみましょう。
フレアーのメリット
フレアーのメリットとしては、主に以下の3つの点が挙げられます。
- 鼻カニューラをつけなくていい
カニューラ(鼻チューブ)をつけずに吸入できるため、「快適さ」「衛生面」(カニューラの管理が不要)というメリットがある
- メンテナンスがシンプル
メンテナンスはフィルター交換と精製水の補充のみと非常にシンプル
- 美容器具としても使える可能性
「水素を空気で包んで送り出す」という機能により、「美顔スチーマー」のような使用方法ができる
美顔スチーマーのように使えるとしたらうれしいね。
フレアーの懸念点
では次にフレアーの懸念点について見ていきましょう。
フレアーの最大の懸念点は、「カニューラを使わずに水素がちゃんと吸えるのか?」という点です。
以下に私が個人的に感じる懸念点を挙げてみます。
① 吸入時の水素濃度の不確実性
フレアーはカニューラを使わずに水素を送り出すわけですが、「50cm離れた場所で4%以上の水素濃度が観測された」という内容の映像が公開されています。
たしかにこの測定器が置かれたピンポイントの場所では4%の濃度が測定されているのですが、非常に拡散しやすい水素分子の性質を考えると、
「どの程度の範囲でこの4%が維持されるのか?」
という疑問は残ります。
吸入中、全く動かずじっとしているならともかく、何か作業中でも多少顔の位置は動きますよね。
実際の吸入場面でどの程度吸えるのか?という部分は不透明な印象を持っています。
② 顔にあたる風が気になって「風量」を弱くするとどうなる?
またフレアーには「風量調節機能」がついていますが、上記の動画はおそらく「風量最大」で測定したものだと考えられます。
顔にあたる風が気になって風量を弱くした場合、どうなるんだろう?
という点の検証が不十分なので、いざ使うとなると気になってしまいそうです。
③ エビデンスの不足
フレアーで実際に吸入できる水素量に関連するエビデンスは、上記の動画以上のものがありません。
この点について気になる話を、ある『水素製品販売店』の方から伺ったことがあり、その方の話では
フラックス社により明快なエビデンスを求めたのですが、十分な回答が得られず、結局フレアーの取扱いをすることはなくなりました。
とのことでした。
この話は詳しく裏をとったわけではないので確実なことは言えませんが、実際公式サイトに公開されているエビデンスは上記動画以外に見当たらないのも事実です。
こうした状況が、私にとっては①②の懸念を抱く要因となっています。
④ ある医療用水素吸入機メーカーの方の話
フレアーの「水素を空気で包んで送り出す方式」について、ある(医療用でも使われている)水素吸入機メーカーの方にご意見を伺ったことがあります。
その回答は、
フレアーという機械そのものは問題ないと思いますが、もし使うなら鼻カニューラで使用することをおすすめします。
というものでした。
やはり「実際の使用場面でどれくらいの水素を吸えるのか」という点が不明確なため、自信をもっておすすめできる吸入方法ではない、ということですね。
以上のような内容から、「フレアーで効果的な水素吸入が可能なのか?」という点については、さらなる検証やエビデンスが必要なのでは・・?という印象をもっています。
ただ、あるピンポイントで4%以上の水素が測定されているのは事実なので、気を付けて吸入すれば(毎分100ml/分の水素量は吸えないとしても)ある程度の水素を吸入することはできると思います。
フレアーを検討・評価するにあたっては、以上の内容を踏まえることが大切だと思います。
フレアーの口コミ・評価は?
さて、フレアーについては、いくつかのサイトでユーザー評価・口コミが掲載されています。
その中でどのような評価がなされているのかご紹介してみましょう。
使いやすさについて
フレアーのコンパクトさと使いやすさを評価している声がいくつかありました。
チューブタイプよりも気軽に使えるのが良いですね。
特に睡眠中にチューブが外れる心配がないのは大きなメリットです。
カニューラ(鼻チューブ)を使用しない設計により、従来の水素吸入器よりも気軽に使えるというのは納得ですね。
ただし、改善の余地もあるようで、別のユーザーからは、
「ノズルに柔軟性があると、好きな位置で固定できてより使いやすくなると思います」
という声もありました。
効果について
効果に関しては、意見が分かれていました。
ポジティブな声としては、「身体の調子がよくなった気がする」というものがあります。
一方で、「残念ながら効果は感じない」という声も聞かれます。
効果の実感には個人差もあると思いますが、さきほどのセクションでご紹介した『科学的なエビデンスの不足』という懸念点とも関連して、さらなる検証が必要かもしれません。
運転音について
運転音に関しては、何人かのユーザーが『気になる』と指摘しています(特に夜間の使用時)。
「おやすみモードの音はちょっと気になる」
「夜寝ながらだと音がうるさい」
といった声が聞かれました。
一方で、「それほど気になりませんでした」という声もあったので、音の感じ方についても個人差がありそうです。
まとめ
以上、今回は水素ジェネレーター「フレアー」について、その特徴やメリット・懸念点、そしてユーザーの声をご紹介しました。
フレアーのメリットとデメリットは以下のようにまとめられます。
フレアーは『鼻カニューラが不要』ということで、より快適な水素吸入体験を提供しようとしている点が何より評価できると思います。
しかし、鼻カニューラなしでの吸入効果については、さらなる検証が必要な部分もあるかもしれません。
最後にフレアーがおすすめできる人・できない人についてもまとめてみましょう。
フレアーがおすすめできるのは、以下のような方かと思います。
- カニューラの使用をどうしても避けたい方
- 美容器具としても使用したい方
一方で、以下の方々は慎重に検討した方がいいかもしれません。
- 確実な水素濃度での吸入にこだわる方
- 科学的エビデンスを重視する方
最終的には、個人のニーズや優先事項によって異なってくると思います。
この記事でご紹介した内容が、フレアーを検討されている方の参考になれば幸いです。