前回の記事で、水素吸入器を使用する際に「カニューレ(吸入チューブ)の内側に水滴が残ること」による、カビ等のリスクについてお伝えしました。

カニューレ内の水滴を放置し、湿度・温度・有機物などの条件がそろうと、有害なカビの発育を促してしまう可能性があるんですね。
健康のために使っているはずの吸入器でこうしたリスクが生じてしまっては、本末転倒です。
前回の記事では、このようなリスクを生む水滴を衛生的に取り除くための方法についてもいくつかご紹介しました。
今回はその対策のひとつである
市販の「水滴排出ポンプ」
を実際に購入し、試してみました。
その使い方や排出効果・感じたメリットと限界などについて、くわしくご紹介してみたいと思います。

カニューレ内側の水滴をどうにかしたい!
と感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
前回のおさらい|カニューレ内の水滴とカビのリスク
まずは、前回の記事(水素吸入器のカニューレの水滴がカビの原因に?見えないリスクと「湿度調整機能」という本質的対策)でご紹介した、「カニューレに水滴がついてしまう理由」と「放置によるリスク」について、簡単にふり返ってみましょう。
カニューレ内に水滴ができる理由
水素吸入器で発生した水素ガスには、少なからず水蒸気(湿度)が含まれています。
この湿ったガスがカニューレ(吸入チューブ)を通っていくと、室温との温度差により水蒸気が凝縮し、小さな水滴となって現れることがあるんですね。
一般的には、水素ガス発生量の多い機種や長時間の吸入を行った場合に、カニューレ内に水滴がつきやすくなります。
水滴を放置するとどうなる?
カニューレ内に水滴が残った状態が続くと、そこは湿度・温度・有機物がそろった「カビの発育環境」となる可能性がでてきます。
たとえば「黒カビ」などは湿ったチューブ内で繁殖しやすく、その胞子を吸い込んでしまうことによる健康リスクも懸念されます。

健康のために水素吸ってるつもりが、カビの胞子も吸ってたら本末転倒だね・・
「気液分離器」でも完全には防げない?
このような事象の対策として、多くの水素吸入器には「水滴を防ぐためのパーツ」として
・気液分離器
・集水ボトル
といった名称のパーツが付いています。


このようなパーツを通すことで、チューブに入る前の水素ガスから水分をある程度除去できる仕組みになっています。
ですが、現実としては「これだけで完全に水滴を防ぐことは難しいケースが多い」というのが実情なんですよね。
ということで、この「残ってしまった水滴」を取り除くために考えられる方法をいくつか、前回の記事(水素吸入器のカニューレの水滴がカビの原因に?見えないリスクと「湿度調整機能」という本質的対策)でご紹介しました。
その中のひとつ、「水滴排出ポンプ」を実際に購入して使ってみたので、ご紹介していきます。
「水滴排出ポンプ」を実際に使ってみた
今回購入したのはこちら。
>>水滴排出ポンプ 【1,650円(税込)】|ヘリックスジャパンオンラインストア

この水滴排出ポンプは、もともとヘリックスジャパンの水素吸入器「ハイセルベーター」シリーズに付属している専用パーツです。
それがオプション品として単体でも販売されているんですね。

ヘリックスジャパンの水素吸入器用ですが、他の機種のカニューレでも使用できるのではないかと思い、今回試してみました。
「吸い出す」のではなく「押し出す」
この「水滴排出ポンプ」の仕組み、勝手なイメージで「水滴を吸い出す」ものだと思っていたのですが、実際には自転車の空気入れのように空気を送り込むタイプの器具でした。
つまり、一方から空気を押し込んで、水滴を反対側へと押し出す仕組みです。

普段使用しているカニューレに使ってみた
ちょうど今使用しているカニューレの内側に水滴がついていたので、さっそくこのポンプをつかってみました。

▼カニューレの「水素吸入器にとりつける側」に「水滴排出ポンプ」の空気排出ノズル(黄色い部分)をつけると、ピッタリはまります。

続いて「水滴排出ポンプ」のハンドル部分をもって押し込むと、空気が押し出されてチューブ内の水滴が動き始めました。
ただ・・
水滴は移動していくのですが、カニューレの長さがある程度あり、さらにその行き着く先も「カニューレの鼻に当てる部分」なので、そこからスムーズに水滴が排出されるというわけにはなかなかいきませんでした。
▼空気が送り込まれることで水滴が散らばって小さくはなりますが、なかなか反対側から排出されるまではいきませんでした。

そもそも前提が違っていた?
実はこの「水滴排出ポンプ」が付属している、ヘリックスジャパン社の水素吸入器「ハイセルベーター」のカニューレの仕様を調べてみると、
- 一般的なある程度長さがあるカニューレではなく、「延長チューブ」と呼ばれる部分と、その先から鼻に取り付ける「短めのカニューレ」にわかれている
- 「水滴排出ポンプ」は「延長チューブ」部分の水滴を排出するためのもの
だということがわかりました。
↓取説の「ポンプの使い方」にあるイラストもこんな感じです。


ハイセルベーターの「延長チューブ」の反対側はシンプルな筒状なので、水滴も排出されやすいのね。
ということで、一般的なカニューレにこの水滴排出ポンプを使用する場合、カニューレ内の水滴を動かすことはできるものの、「完全な水滴対策」とするのはなかなか厳しいのかな・・というのが使ってみた感想です。

もちろんこの器具はハイセルベーター用なので、そもそも違う用途に使用した・・ということは押さえておく必要があります。
電動エアダスターでも似た結果になる?
今回、一般的なカニューレに「水滴排出ポンプ」を使ってみて感じたのは、前回の記事でご紹介した「電動式エアダスター」を使用した場合も、似たような結果になるのではないかということです。
電動式エアダスターも、基本的には「空気を送り込んで水滴を飛ばす」という仕組みです。
そのため、カニューレの反対側・・つまり鼻に装着する側から水滴が排出される流れになるんですよね。
そう考えると、今回と同様に、スムーズな水滴の排出はあまり期待できないのではないか・・と感じました。

この点については、電動式エアダスターの出力に左右される部分もあるかもしれません。
まとめ:やはり「結露しにくい設計」の価値は高い
というわけで今回は、「カニューレ内の水滴対策」のひとつとして考えられる「水滴排出ポンプ」を実際に使ってみた様子をお伝えしました。
今回、水滴排出ポンプを使ってみて改めて感じたのは、

やはり、最初からカニューレ内に水滴がつきにくい設計になっている水素吸入器は快適だな・・
ということでした。
水素ガスの湿度をコントロールする機能が備わっている機種や、高度な結露防止設計を取り入れているモデルでは、カニューレに水滴がほとんどつかないため、そもそも今回のような排出作業が不要になります。
たとえば、
★「Hhuhu【ふふ】」という水素吸入器には水素ガスの湿度を50〜65%に保つ機能があり、長時間の使用でもカニューレが湿りにくいだけでなく、鼻の粘膜に最適な湿度で快適に使えますし、
★「H2JI1」という機種ではマイナス60℃までカニューレ内の結露を防げる設計になっています。
これらの機種は高性能モデルと言えますが、

衛生面や手間の軽減を重視して、最初からそういう設計の機種を選ぶ!
という考え方も十分にありかもしれませんね。