2007年以降の水素医学発展のきっかけを作られた、太田成男日本医科大学名誉教授の新しい論文が発表されました。
「アルツハイマー病患者に対する水素ガスの治療的吸入と疾患修飾治療としての長期フォローアップ:オープンラベルのパイロット研究」(Therapeutic Inhalation of Hydrogen Gas for Alzheimer’s Disease Patients and Subsequent Long-Term Follow-Up as a Disease-Modifying Treatment: An Open Label Pilot Study)
太田教授といえば、最近でも新しく設立された日本分子状水素普及促進協会の会長に就任されるなど、精力的に水素(分子状水素)の普及に献身されています。
今回はそんな太田教授の新しい論文の内容について、かんたんにご紹介してみたいと思います。
「株式会社ドクターズ・マン」や、当サイトでも一度水素吸入器の無料体験に伺った「株式会社ドクターズチョイス」など、業界の何社かが中心となって設立された、水素製品の適切な普及を目的とする業界団体。
(参考記事:ピュアラスキューブプレミアの口コミ体験談|効果が期待できそうなドクターズチョイスの水素吸入器)
アルツハイマー治療に水素ガスの利用が期待できる|論文の内容紹介
今回の論文は、アルツハイマー病治療における水素ガス吸入の効果に関する研究結果と、その後の長期フォローアップによる疾患修飾治療(症状の進行を抑える治療)の可能性について発表したものとなっています。
研究の前提|なぜアルツハイマー病に水素が期待できるのか
論文の冒頭では、今回の研究が行われた背景について説明されています。
- アルツハイマー病は進行性のある神経変性疾患で、複数の要因が複雑にからみあって生じるため、治療薬の開発が難しい
- 水素ガスは、抗酸化作用、抗炎症作用、細胞死抑制作用、エネルギー代謝の促進など、多くの機能が報告されている
- これまでに、認知症モデルの動物を対象にした実験で水素ガスに大きな効果が見られた
- 最近では水素ガスの持続的な吸入により、進行したアルツハイマー患者の便失禁の改善が報告されている
なるほど、こういった背景で今回の研究も行われることになったのね。
今回の研究では主に「発症後の病患修飾治療」(疾患の発症や進行を抑制する治療)についての探索を目的とされたそうだよ。
研究の方法
ADの患者8名が、6か月間1日2回、1時間にわたって3%のH2ガスを吸入し、その後1年間、H2ガスを吸入しない状態でフォローアップされました。
結果
結果については、以下のような内容が記載されています。
水素ガス治療6か月後の平均ADAS-cog変化は、治療を受けなかった患者(+2.6)に比べて有意に改善されました(-4.1)。
DTIによる評価でも、H2治療は初期段階に比べて、ヒップコンパスを通過する神経細胞の完全性を有意に改善しました。
ADAS-cogとDTIの評価による改善は、6か月後には有意に、1年後には非有意に維持されました。
水素ガス吸入によって認知機能の検査で有意な改善がみられ、関連する神経細胞の状態も改善されたということですね。
研究の結論
結論として、論文は以下のようにまとめられています。
この研究は、ADAS-cogとDTIによって評価される改善について、水素ガス吸入による顕著な改善を示唆しており、重要なことに、水素治療を受けていない期間でも少なくとも6ヶ月間は効果が持続することを示しました。
ただし、本研究はアルツハイマー患者における水素ガス吸入の小規模な非無作為化臨床研究であり、オープンラベル試験でした。より多くの患者に対する効果を明らかにするためには、ランダム化、プラセボ対照群を含むさらなる研究が必要です。これらの制限にもかかわらず、水素ガス吸入は劇的な効果を示すため、アルツハイマー病のの疾患修飾治療の候補であると提唱します。
まとめ
以上、今回は太田成男日本医科大学名誉教授による新しい論文についてかんたんにご紹介しました。
「結論」で述べられている
水素ガス吸入は劇的な効果を示すため、アルツハイマー病の疾患修飾治療の候補であると提唱します。
というのはかなり力強い言葉ですよね。
まだ一般的な治療に導入されないとはいえ、それくらい水素ガスの働きへの確信が研究者の方々のなかにはあるのだろうな、と感じます。
論文の中でも触れられていますが、水素ガス吸入は副作用などの安全面でも優れた方法なので、今後ますます医療にも取り入れられていくことを期待したいと思います。