2016年11月に水素吸入治療が厚生労働省の「先進医療B」として承認されて以降、全国20の医療機関で【水素吸入治療の臨床試験】がすすめられています。
そのひとつである慶應義塾大学医学部で行われている水素ガス吸入療法が、先日TV番組で紹介されました。
今回はその番組の内容についてお伝えしたいと思います。
水素吸入を長期的におこなっていくことの可能性についても触れた内容になっていますので、水素吸入が気になっている方はチェックしてみてくださいね。
慶應義塾大学の水素ガス治療開発センター長さんが「水素の性質」について語る
慶應義塾大学医学部ですすめられている水素ガス吸入治療の責任者である、【水素ガス治療開発センター】の佐野元昭センター長が、まず水素がもつ効果について話してくれます。
水素は従来「まったく無害なガス」の代表だった
従来、水素ガスは人体や生物にとって「まったく益も害ももたらさないガスの代表」でした。
・・そうです。
それが2007年に日本医科大学の太田成男教授がNature Medicine誌に発表した論文をきっかけに、さまざまなプラスの効果をもつことが知られるようになったんですね。
このことからまず抑えておきたいのは、
「水素はからだにとってまったくの無害である」
ということ。
つまり水素吸入等で副作用の心配はしなくていいということです。
体内の腸内細菌も水素ガスを発生させているけど・・
また、実は体内の腸内細菌が水素ガスを発生させているということも明らかになっています。
そうすると、
「体内で水素ガスが発生しているのであれば、外側から水素ガスを吸入する意味はあるの?」
という当然の疑問が生まれるわけですが・・
腸内細菌によってつくられる水素ガスは「きわめて微量」なうえ、肝臓や肺をとおってそのほとんどが体外に排出されてしまうんですね。
そのため身体のほとんどの部分が水素の恩恵を受けることができません。
ここに外側から水素ガスを吸入する意味があると語られています。
水素の効果とは?
では水素ガスにどんな効果があるのでしょう?
はっきりした結果がでているのは今のところ動物実験にとどまっていますが、
- 炎症を抑えるはたらき
- 体内の細胞などに害をなす活性酸素を抑えるはたらき
このようなはたらきがあるのがわかっています。
そして炎症や活性酸素が原因となる、「糖尿病」「メタボリックシンドローム」などへの治療効果があることもわかっているんですね。
動物実験の結果からすると、炎症を抑える効果とか、あるいは血行動態を安定化させる効果など、様々な多面的な効果が認められています。
あとは最近言われている糖尿病とかですね、メタボリックシンドロームにともなう様々な合併症、これもやはり炎症が効いている(原因)と言われていますけれども、水素ガスというのはそういったことにたいしても治療効果を発揮するということがわかっていますし、本当にさまざまな局面において水素ガスが有効であるというのはわれわれの研究グループだけではなく、世界各国から報告されているというのが現状です。
高い効果が認められた「脳梗塞」モデル
動物実験でさまざまな効果が確認されている水素。
なかでも高い効果が認められたのが、「脳梗塞」モデルだといいます。
脳梗塞のモデルで実際に脳の血管をいったん詰めてしまって、しばらく時間がたってからまた血流を再開させてやると。
そうすると血流が再開したときに、細胞を障害するような活性酸素と呼ばれている、非常に組織に強い酸化ストレスを与えるような物質などが出るんですけども、水素ガスをその動物に吸わせておきますと、細胞障害が軽減されることがわかりましたので・・
それはもうわかった?
そうですね、最終的には脳梗塞のサイズが半分くらいに縮小すると。
このように、動物実験のレベルでは水素の「活性酸素を抑える」「炎症を抑える」といったはたらきによるさまざまな治療効果が確かめられているんですね。
では水素は人間にも効果があるといっていいの?→それを今確かめているところ
「酸化ストレス」を抑える効果が確認されている水素。
では人間にたいする水素吸入の効果は、どの程度まで確かめられているのでしょう?
人間に関してもですね、
小規模な研究あるいは水素ガスを吸わせていて効果を見ているだけの研究においては、
水素ガスが実際に酸化ストレスを抑えるあるいは炎症を抑えるということを報告した研究というのはたくさん出ていると思います。
このように、小規模な研究においては
「水素が人にたいしても酸化ストレスを抑えたり炎症を抑える効果」
が確認されているんですね。
水素が「医薬品扱い」「保険対象」となるのはまだ先の話
ただ水素を「医薬品扱い」「健康保険の対象診療」と国に認められるレベルの大規模な研究・実証はまだ結果がでていません。
その大規模な検証を、今まさに慶應義塾大学などの医療機関ですすめているところなのです。
具体的には「心停止後症候群」にたいする水素吸入の効果を検証中
慶應義塾大学では、具体的に「心停止後症候群」での臨床試験をおこない、医学的な効果を検証しています。
心臓が停止した状態から、なんらかの蘇生術によって心臓の鼓動が再開したとき、大量の活性酸素が発生して組織にダメージをあたえ、脳や臓器に機能障害を引き起こす症状。
水素吸入によって「大量の活性酸素によるダメージを軽減できる可能性」が医学的に検証されているところなわけですね。
われわれは動物実験で水素ガスを吸入させると
脳機能あるいは心機能の改善効果、もっといえば生命予後の改善効果を確認しておりますので、
それを実際に患者さんにおいても恩恵をもたらすことができるかどうかということを検証する臨床試験を行っています。
「水素が薬になるかどうか?」結果がでるのは数年先以降
現在、慶應義塾大学のような臨床試験を全国20の医療機関でおこなっています。
その結果「水素を薬にするかどうか?」の判断がでるのはまだ数年先以降とのこと。
とはいえ、将来的に水素の医学的効果が認められて「水素医療」が本格的にとりいれられる可能性は十分あるといえそうですね。
まとめ。【長期的な水素吸入】には大きな可能性がある?
最後にスタジオでこんな話がされていました。
水素吸入すれば、3分くらいで全体(全身)が飽和するらしいです。脳も含めて。からだじゅうが飽和すると。
たまに吸うんですけど、15分くらいすると、脳がフワっとするっていうのかな、リラックスするっていう実感は、あるんですよね〜
すくなくとも動物実験においては、水素というのは、
・活性酸素を抑える効果
・炎症を抑える効果
があるんですね。
で、これ両方とも「老化」につながっている話なんですよ。
「だからもし効果が確認されれば、(老化なども含む健康・美容対策として)【長期的な使い方】といった道も開かれるかもしれない・・」
とのこと。
「長期的な効果」というのは大規模な臨床試験で確認することが難しく、なかなかはっきりした実証はできません。
ですが最初にあったように「水素は無害」なので、少なくとも試してみる価値はあるといえそうですよね。
すでに水素を生活に取り入れる方であれば多くの人が体感しているかもしれませんが、水素を長期的にとりつづける可能性は非常に大きいものがあると感じます。
水素吸入の医学的な効果が確認されることで、より多くの人が水素の恩恵を受けるようになることを願いたいですね。
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