【水素の効果効能】を商品などでうたうことは、法律上できません。
が、動物実験ではすでに否定できないレベルの様々な現象が観察されています。
今回は、動物実験からさらに一歩すすんだ「人を対象にした臨床試験」レベルの研究のなかで、どういった「効果」が観察されているのか?についてまとめてみたいと思います。
増え続ける水素医学の臨床研究
水素の効果は動物実験のレベルではすでに「間違いない」といえるところまで来ています。
これら動物実験で観察されてきた効果は、人にも応用できるのか?
それを確認するために、今後は人にたいする臨床試験の結果が待たれることになります。
2019年1月現在、すでに20報以上の人にたいする臨床研究の論文が発表されていますが、現在進行中の臨床研究も多く、今後ますます発表される論文の数は増えていくことでしょう。
ちなみに本格的な水素の医学研究が始まったのは2007年、日本医科大学太田教授らの論文が『Nature Medicine』誌に掲載されて以降のこと。
わずか10年たらずで20もの臨床試験がおこなわれるのは「異例の速さ」なのだそうです。
それだけ水素の力が研究者をひきつけているということなんでしょうね。
「疾患をもつ人」にたいする水素の臨床研究一覧
ではまず、「なんらかの疾患をもっている人」にたいする水素医学の臨床研究から確認してみましょう。
『分子状水素の有益な生物学的作用と基礎的メカニズム』
こちらの論文のなかで中部大学の市原教授らが、これまでの水素医学の臨床研究を一覧でご紹介くださっています。
まとめると以下のようになります。
疾患 | 参加人数 | 二重盲検法 | 結果の要約 |
2型糖尿病 | 30 | ◎ | 水素豊富水は、2型糖尿病または耐糖能障害の患者の脂質およびグルコース代謝を改善する |
メタボリック・シンドローム | 20 | 酸化ストレスの改善 | |
慢性腎不全 | 29 | 高血圧、酸化ストレス、炎症の改善 | |
炎症性・ミトコンドリア性筋症 | 31 | △ | 血清乳酸/ピルビン酸塩比の改善 |
肝腫瘍に対する放射線治療の副作用 | 49 | 放射線治療中のQOL(Quality of Life)スコアの改善 | |
関節リウマチ | 20 | 関節リウマチの疾患活動スコアの改善 | |
筋肉疲労 | 10 | ◎ | 若いアスリートの筋肉疲労の改善 |
床ずれ(圧力性皮膚潰瘍) | 22 | 創傷サイズの減少および皮膚圧迫潰瘍からの早期回復 | |
間質性膀胱炎 | 30 | ◎ | 患者の11%で膀胱痛スコアが低下 |
脳虚血 | 38 | 酸化ストレスの減少 | |
UV誘発皮膚損傷 | 28 | UV誘発皮膚炎症、内因性皮膚老化および光老化プロセスの予防 | |
高脂血症 | 20 | 総血清コレステロール、LDL-コレステロール、アポリポタンパク質およびアポEの減少 | |
慢性B型肝炎 | 60 | ◎ | 酸化ストレスの減衰 |
パーキンソン病 | 17 | ◎ | 全統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)が改善、水素水の投与終了後に悪化 |
関節リウマチ | 24 | ◎ | DAS28の改善 血清IL-6、MMP3、CRPおよび尿中8-OHdGの減少 |
スポーツによる筋障害 | 36 | ◯ | 組織損傷からの回復が速く |
運動による乳酸血症 | 52 | ◎ | 血中アルカリ度が上昇 |
血管内皮機能 | 34 | ◎ | 静脈の血流改善 |
◎:二重盲検法(被験者も実験者も投与内容を知らない)
◯:単盲検法(被験者のみ投与内容を知らない)
△:一部二重盲検法
☓:オープンラベル(被験者も実験者も投与内容を知っている)
「水素の効果は動物実験でしか確認されていないのでは?」
という水素への批判もあったりしますが、実際には人にたいしてもこれだけの結果がでているんですね。
「対象人数が少ないから意味がない」という批判について
臨床研究の一覧をみてみると、研究への参加人数は数十人レベルとなっています。
このことから
「臨床試験の規模が小さすぎるので意味がないのでは?」
という声をあげる方もいるようです。
臨床試験の適正な対象人数については正直、学術的なことでわからないのですが・・
日本医科大学の太田成男教授の著書を見てみると、以下のような内容が書かれていました。
- 試験結果の信頼性を左右するのは、「参加人数よりもデザイン」
- 多ければいいというわけではなく、合理的な最少人数を設定するプロセスがある
- 予備的な研究で「効果が期待できる」ということが確認できれば、さらに多くの人数の研究に移行する
ということで、専門家の目からすると「数十人レベルの臨床試験の結果」にも十分な意義があるようです。
「健康な人」にたいする水素の臨床研究も
また、水素にたいする別の批判のひとつに、
「臨床研究で効果が確認されているのは何らかの疾患をもった人ばかりだ。
健康な人が飲むとどうなるかはわかったもんじゃない」
といったものもあります。
この点についても、少しずつですが健康な人への臨床試験も行われてきています。
健康な人を対象にした、水素の臨床研究一覧
健康な人を対象にした水素の臨床研究は、現在のところ以下の内容が公開されています。
1.運動後に乳酸の上昇が抑制され、筋肉疲労が低下(筑波大のスポーツ科学)
トレーニングを行う前日から直前まで数回に分けて少量ずつ水素水を飲むことで、運動中の筋肉疲労を最小限に抑えることができ、運動後に活性酸素を取り除くことで疲労回復を早めることができる。
2.水素入浴によって、運動後の筋肉痛が軽減した(早稲田大学のスポーツ科学の論文)
Effects of hydrogen bathing on exercise-induced oxidative stress and delayed-onset muscle soreness
3.水素水を飲むことによって、日常的な疲労が改善した(大阪市立大学と理化学研究所のデータ)
『“高濃度水素水”が日常生活疲労に対する 抗疲労効果を有することを立証』大阪市立大学
4.水素水を飲むことによって、脂質代謝異常の傾向がある人の悪玉コレステロール値が改善した。動脈硬化の抑制につながることが示唆されている。(中国山東大学の論文)
(資料はウェブ上ではみつけられませんでした。。)
5.水素水をボランティアが飲むことによって、血流依存製血管拡張反応が上昇した。(血流増加)。動脈硬化の抑制につながることが示唆される。
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/pdfs/press_150522.pdf#search=%27
6.糖尿病発症前状態が改善した。(京都府立医科大学のデータ)
7.水素水を飲用することによって歯周病が改善した(岡山大学のデータ)
こうしてみてみると、本当に多くの機関や研究者が、大変な費用や期間がかかる臨床試験に取り組んでいるんだな、と実感しますね。
まだまだ現在進行中の臨床試験も多いとのことなので、今後さらに研究結果が公開されていくと思います。
まとめ
今回は水素の医学研究のなかでも「人を対象にした臨床試験」の状況について確認してみました。
なかなか期待できそうな試験結果が目白押しでしたよね。
現在、法律的に水素製品が「効果効能をうたう」ことはできませんが、今後さらに臨床研究が実施されていくことで、堂々と効果効能をうたえる日がくることは十分期待できると思います。