≫放射能と水素についての研究論文①|水素水が放射線による精子と造血機能の損失を減らす
≫放射能と水素についての研究論文②|水素の心臓保護効果
≫放射能と水素についての研究論文③|放射線治療の副作用に対する効果
≫放射能と水素についての研究論文④|肺の障害を水素水で改善
放射線対策に水素が有効であることを論じた研究論文のご紹介、5本目になります。
今回は「水素水の抗酸化作用によって、放射線によるダメージを緩和できる」という内容の研究になります。
水素水の抗酸化作用による放射線防御効果
「培養細胞とマウスにおける水素の放射線防御効果」
Radioprotective effect of hydrogen in cultured cells and mice.(Free Radical Res. 2010; 44:275-82)
概要
水素は活性酸素であるヒドロキシルラジカル及びペルオキシナイトライトを選択的に取り除くことができることが実証されています。
電離放射線による細胞損傷の大部分はヒドロキシルラジカルによって引き起こされるので、この研究は水素が有効な放射線防護剤であることができるという仮説をテストするために設計されました。
本論文では、照射前に細胞に水素を投与すると、電離放射線照射によって起こるヒトリンパ球AHH-1細胞のアポトーシス(細胞死)を大幅に阻害し、細胞の生存率を高めることができることを実証しています。
本稿ではまた、水素は放射線によるダメージから胃腸内皮を保護し、プラズママロンジアルデヒド(MDA)、腸8-ヒドロキシのレベルを減少させ、生体内で血漿の内因性抗酸化物質を増加させることができることを示しています。
これは、水素は有効かつ安全な放射線防護剤としての可能性をもっていることを示唆しています。
(以下グラフをいくつか紹介します)
▲左から、「放射線照射前に水素投与」「放射線照射後に水素投与」「放射照射のみ」の、
それぞれの細胞の生存率をあらわしています。
放射線照射前に水素を投与していたグループは、そうでないグループに比べて約2倍の生存率になっています。
こちらのグラフでは、水素濃度(横軸)が高いほど、細胞の生存率【cell survival】も上がっているのがわかります。
放射線対策においても、より高濃度の水素水を使用したほうが効果が高いということでしょうか。
水素が細胞の生存率を高める
この実験は人間を対象とした臨床試験ではなく、実験室内のレベルでおこなわれたものです。ですのでただちに「人体を放射線から守るために水素水が有効」とも言えません。
ですがここまで細胞の生存率が高まっているというデータをみせられると、
「人間の身体も細胞の集まりだから何らかの効果があるんじゃないか?」
と期待してしまいますよね。
水素の医学研究については今現在臨床研究がすすめられているものが20件程度ということで、まだまだ研究途上です。
作用機序の面でも新発見の論文が発表されたりもしていますので、この調子で研究がどんどんすすんでいって、しっかりとした認可がおりるレベルにまで育っていくといいですね。