「水素って爆発しそう」というイメージから水素製品に不安をいだいている方も多いと思います。
私も中学生のときにやった理科の実験で、水素を火を近づけると「ぽんっ」と小さな破裂音がしたのを覚えていて、「水素→爆発」というイメージを持っていました。
今回はそんな危険なイメージのある水素製品に「爆発の危険はないのか?」について検証してみました。
水素製品を生活に取り入れるのはまだちょっと不安・・
という方は参考にしてみてくださいね。
水素ガスによる爆発事故の例
まず、過去に実際におこった「水素の爆発事故の例」としてどんなものがあるのか確認しておきましょう。
風船が爆発
百貨店の開店10周年記念行事として、ゴム風船に花の種子を付けて飛ばすことになり、水素入りゴム風船1000個を玄関前の広場へ持ち出しした際に、500個が突然爆発し、従業員7名と一般人48名が被災しました。
原因
観客の咥え煙草から引火したものと考えられます。(出典:水素ガスによる事故|川口液化ケミカル)
昔はイベントなどにつかわれる風船を浮かせるために水素を使っていました。
そのためにこのような事故が起きることもあったようです。
ヒンデンブルグ号の事故は水素が原因ではない?
水素の爆発事例としてよく引き合いにだされる事故に、水素ガスを利用した飛行船「ヒンデングルグ号」の事故があります。
映像をみると本当に恐ろしいですね・・
実はこのヒンデンブルグ号の事故は「水素が出火原因ではない」という説が有力になっています。
酸化鉄と粉末アルミニウムを混ぜた特殊な塗料を使っていたのですが、この成分が非常に燃えやすい性質をもっており、静電気の火花によって発火した可能性が高いということです。
水素が燃えたのは事実
ただ、「発火した後」は水素なのでよく燃えた、というのは間違いありません。
映像にあるような激しい燃え方をしたのは「中身が水素ガスだったから」だといえるでしょう。
水素が燃える条件
このように爆発を引き起こすと大きな事故にもつながりうる水素ガスですが、水素ガスが空気中で燃える条件はどのようなものなのでしょうか?
気体としての水素分子が空気中にどれくらいの濃度あれば燃える可能性があるのかというと、その割合は「4%〜75%」となっています。
この条件に静電気レベル以上の「着火エネルギー」が加わると燃焼します。
逆にいうと、空気中の水素分子濃度が4%以下であれば燃える可能性はないということですね。
燃焼範囲は空気中に体積で4~75%含まれている場合で、それ以上濃度が高くても低くても着火しません。
(出典:水素とイワタニ|イワタニ公式サイト)
ただしこの「4〜75%」は確定的な数字とはいえないようで、「10%以下であれば燃焼の危険はない」としている研究もあります。
慶應義塾大学環境情報学部の武藤佳恭教授はMiZ株式会社(神奈川県鎌倉市、佐藤文武社長)との共同研究において、爆発の危険性がある水素が従来から提唱されてきたJIS規格「4%以上で爆発する」と言われていることにおいてあらためて検証し、実際には実測10%以下であれば爆発しないことをつきとめました。
(出典:世界唯一の爆発しない水素ガス吸入機の開発|PR TIMES)
現状では「少なくとも4〜10%以下であれば問題ない」といえそうです。
自然発火もしにくい
また水素ガス自体の自然発火温度は527℃となっており、これはガソリンの約500℃よりも高い温度です。
自然発火する可能性も極めて低いと考えられます。
水素吸入器に燃焼・爆発の危険性はある?
さて、以上の水素の性質を踏まえた上で、水素製品を使用するときに爆発のリスクを考える必要があるのでしょうか?
水素製品のなかでも「水素ガス」をそのまま扱う「水素吸入器」から見てみましょう。
水素吸入器は「機器内の場所」によって水素ガス濃度がちがう
水素吸入器はその水素発生方法によって、「発生するガス中の水素濃度」が
- 約66%または約99%
にわかれます。
そしていずれの場合も、発生した後にまわりの空気をまざっていって「実際に鼻や口から吸う場所」では数%濃度まで落ち着きます。
下の図のようなイメージですね。
つまり、
水素吸入器内部の『どこか』では、
リスクのある「4〜75%濃度」(または10〜75%濃度)の場所が(わずかではあるけど)存在する
ことになります。
水素吸入器内部で燃焼の可能性はある?
では水素ガス濃度が「4(または10)〜75%濃度」の場所で、燃焼が起こるリスクはあるのでしょうか?
これは「各水素吸入器の内部構造」に依存してくるはずなので、一般的なことは言えないと思います。
そこで一例として、私自身が使っている「H2ヒーラー」という水素吸入器で考えてみたいと思います。
私が使用している「H2ヒーラー」の場合
まずH2ヒーラーの発生ガスは「水素:酸素(2:1)の混合ガス」となっており、「ガス発生字の水素濃度」は約66%です。
ガスは画像のように水中で発生するため、この時点では燃焼の心配はありません。
▼そしてボトル内の空気と混ざり始めるのがここ。
▼そしてカニューラ(チューブ)の先の吸入口では4%以下にまで水素ガス濃度は下がっています。
実際にカニューラの先の水素ガス濃度を実測した動画がこちら。たしかに3.8%程度の濃度が計測されています。
水素ガス濃度4%(10%)〜75%の場所で発火がありえるか?
ということで、H2ヒーラーの機器内で
水素ガス濃度が「4%または10%〜75%」になりえる場所
は、この場所です。
燃焼には「着火のきっかけ」が必要
水素ガスが燃焼を始めるためには、そのための「着火」というきっかけが必要で、たとえば
- ライターの炎
- 静電気
がきっかけになり得ます。
この場所で「ライターの炎」や「静電気」があるかというと・・
ライターの炎→まずありえない
静電気
→静電気の発生条件のひとつに湿度が低いことがあげられる
→水面の上のこの小さな空間の湿度は相当高いはず
→可能性は極めて低いのでは?
ということで、個人的にはH2ヒーラー内部で燃焼が起こる可能性は極めてゼロに近いのではないかと思っています。
科学に関しては素人の考えなので自信はありませんが、どうでしょう??
少なくともこれまで1年半H2ヒーラーを使ってきたなかでは、燃焼や爆発のリスクのようなものは一度も感じたことはありません。
水素吸入器についての参考になればと思います。
水素水製品の燃焼・爆発リスクは?
では次に水素水製品についてみてみましょう。
水素水製品には以下のような種類があります。
- 市販のアルミパウチ水素水
- 水素水サーバーでつくった水素水
- 水素水スティックでつくった水素水
- 水素風呂
が、さまざまな水素水製品の種類にかかわらず、水素水中に含まれる水素分子の濃度は1.0ppm前後から、最大でも7.0ppm程度となります。
「ppm」というのは100万分の1の意味で、1.0ppm=0.0001%です。
つまり水素水中に含まれる水素濃度は最大でも0.0007%程度ということですね。
水素水製品はリスクなし
「空気中の水素分子の濃度4%または10%以上が燃える条件」とあわせて考えると、水素水を飲もうと、水素水を沸騰させて火を近づけようと、燃える危険性はゼロといってもいいことがわかります。
「水素水製品を使用しても、引火する危険性は考えなくてもいい」といえるでしょう。
まとめ
今回は水素製品と「水素の燃焼・爆発リスク」についてみてきました。
ご覧いただいたとおり、水素水製品についてはまず心配することはありません。
水素吸入器についてはたしかに「高濃度水素ガス」の場所が機器内のどこかに存在するため、「リスクは完全にゼロ」とはいえないのではないかと思います。
が、実際にはH2ヒーラーの検証例のように「リスクは限りなくゼロに近い」のでは?というのが個人的な印象です。
これまで水素吸入器に関係した燃焼・爆発事故というのも聞いたことがないですしね。
水素製品を生活にとりいれる際の参考にしてみていただければと思います。