5月14日のYahooニュースに掲載された産経新聞の記事は識者のコメントを引用しながら全体として「水素水は効果なし」という印象を与えるものだったことから、さまざまな議論や反応をひきおこしました。
前回の記事(「水素水の効果は嘘か本当か?」という議論を混乱させている4つの要因)でも触れましたが、ここでいう「あの水」とは「アルカリイオン水」のことを指しています。
ですが、
「水素水とアルカリイオン水は同じだった」と完全に「=」で結ぶのは明らかに誤っています。
今回は多くの人が混乱しているであろう「水素水」と「アルカリイオン水」の違いについて、詳しくご紹介してみたいと思います。
水素水とアルカリイオン水の違い
アルカリイオン水とは
「水を電気分解したときに陰極側にできる水酸化物イオンを多く含んだアルカリ性の水」
のことです。
(参考:アルカリイオン水 wikipedia)
簡単にいうと「水を電気分解してできる、アルカリ性の水」ですね。
このアルカリイオン水には電気分解のプロセスで生じる水素分子が多少含まれています(水素濃度は0.1〜0.3ppm)。
そのため、
「かつてはアルカリイオン水として販売されていた水が、ブームにのって今では名前だけ水素水と名前を変えて販売されている」
という事実はあるんですね。
ですが、「水素水=アルカリイオン水」というわけではないことを、これからみていってみましょう。
アルカリイオン水の水素濃度は低く、アルカリ性が強くなるため「必然的に」水素濃度を高められない
かつて「アルカリイオン水生成器」として販売されていたものが今では「水素水生成器」として売られているケースも一部にあるわけですが、どの機種も水素濃度はたかくて0.3ppm程度とかなり低くなっています。
(参考:日本トリムの電解水素水整水器は「水素水サーバーとして」評価できる?)
これは、アルカリイオン水に含まれる水素濃度をあげようとすると、アルカリ性が強くなりすぎて人が飲む水としては適さなくなってしまうからです。
ということで、アルカリイオン水としての水素水は、
■ 水素濃度が低く(0.1-0.3ppm程度)
■ pH8.5-9.5のアルカリ性をしめす(普通の水はpH7前後の中性)
このような特徴をもつことを覚えておきましょう。
現在の主流の水素水「アルミパウチ」「水素水サーバー」の水素水は?
それに対して現在の水素水製品の主流をしめているのは、
パックで販売されている「アルミパウチ水素水」
そして水素水専用に開発された「水素水サーバー」です。
■「水素水をつくる」ことを目的とした水素水サーバーは、かつてのアルカリイオン水生成器を流用したものではなく、水素水のつくり方もことなっています。
アルミパウチ水素水は「水に水素分子を充てんする」ことによって、「高濃度」「中性の水」を実現
まずアルミパウチの水素水については、多くの製品が同様の製法をとっており、電気分解による水素水生成法ではありません。
普通の水に水素分子を充てんして溶けこませ、水素分子が抜けにくいアルミパウチでパックする、という方法をとっています。
こうしてつくられた水素水は「アルカリ性」のアルカリイオン水とは異なり「中性」ですし、
アルカリ性が強くなることによる水素濃度の制限もないため「1.0ppm以上の高濃度」が一般的になっています。
「水素水サーバー」の水素水も中性・高濃度が主流
そして、かつてのアルカリイオン水生成器を流用したものではない、まともな「水素水サーバー」でつくられる水素水もアルカリイオン水とは異なります。
わかりやすい例として、代表的な水素水サーバー
「ルルド」「アキュエラブルー」「ガウラmini」「H2ガウラ」
それぞれについて見てみましょう。
1.水素水サーバー「ルルド」は電気分解でつくった水素を別槽の水に充てんする
右が飲用水のポット部分ですが、左側の槽で水の電気分解によって水素をつくり、それを右の水に充てんします。
そのため、飲用水がアルカリ性になることもなく、高濃度1.2ppmの水素水が実現しています。
(参考:水素水サーバールルドの評判は?口コミをまとめてみました)
2.水素水サーバー「アキュエラブルー」は特許取得の特殊な電解層により、「中性」「高濃度」を実現
アキュエラブルーも電気分解を利用した水素水生成法をとっていますが、
アルカリイオン水生成器の電解層とは異なる特殊な電解層によって「中性」「高濃度」の水素水が作れるようになっています。
アキュエラブルーの電解メカニズムとは
電解飽和水素水生成器アキュエラブルーの電解槽(特許第3349710号)は従来のアルカリイオン生成器などで使用されている電解槽と異なり、マイナス室だけしかなく、プラス室はありません。
プラスに接して配置された隔膜 そのものが水を吸収・蓄水し、プラス極と隔膜間の水膜により模似プラス極室が構成されるため外部に水を漏らすことなくマイナス極機能だけを発揮することが可能です。
この特別な電解槽によって豊富な水素量、且つ酸素が増加していない中性領域の水素水を生成する事を可能にしました。
アルカリイオン整水器のように、捨て水となる酸性水を生成することもありません。
(出典元:電解飽和水素水生成器 アキュエラブルー)
pH(ペーハー)と溶存水素濃度の実測値をみると、アルカリイオン水生成器との違いがよくわかります。
pH | 溶存水素量 | |
アキュエラブルー | 7.85 | 1.6ppm |
水道水 | 7.0 | 0ppm |
アルカリイオン水生成器 | 10.0 | 0.1〜0.2ppm |
アルカリイオン水生成器はpHが10.0とかなりアルカリ性に傾いており、その関係で水素濃度も0.1〜0.2以上に上げることができません。
それにたいしてアキュエラブルーは実測で1.6ppmもの高濃度の水素水を実現しています。
≫水素水サーバー「アキュエラブルー」口コミのまとめ
こちらの記事ではアキュエラブルーの数多く寄せられている口コミをまとめていますが、これだけの高濃度ゆえの口コミといえるかもしれません。
3.水素水サーバー「ガウラmini」「H2ガウラ」も「中性」「高濃度」の水素水
「アキュエラブルー」「ルルド」よりも新しく、今おそらく人気No.1の水素水サーバー「ガウラmini」(画像)と「H2ガウラ」(設置型の水素水サーバー)。
この2機種については「ルルド」「アキュエラブルー」のような明快な解説が公式サイトになかったため、メーカーの「株式会社ガウラ」に直接聞いてみました。
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御社の水素水サーバーは電気分解によって水素を生成していると思いますが、アルカリイオン水生成器のように出来上がった水素水はアルカリ性なのでしょうか?
また、もしアルカリ性でないとしたら、そのメカニズムを教えていただけますでしょうか?[/speech_bubble]
このような質問を送ったところ、下記のような返答をいただけました。
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この度はお問い合わせいただきありがとうございます。
当社のサーバーですが、アルカリイオン水ではなく水素水サーバーとなっており、生成方法は電気分解によるものですが中性になります。
水道水のph値 から、+0.2~+0.3 程、アルカリ性にはなりますが、中性域のお水となっております。
メカニズムに関しては、申し訳ございませんがご回答できかねますのでご了承ください。企業努力というところでご理解いただけると幸いです。
また何かご不明な点、ご質問等ございましたらご連絡をお願い致します。
今後とも宜しくお願い致します。
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ということで
「できあがった水素水はpH7.2〜7.3の中性域」
「詳しいメカニズムについては企業秘密」
という回答をいただくことができました。
おそらくメカニズム的にはアキュエラブルーのように電解層に工夫がされているのだろうと想像します。
またこちらの記事でも触れましたが(水素水サーバー「ガウラmini」の評判は?|口コミをまとめてみました)、「1.0ppmの高濃度水素水」は実際にユーザーの自宅で計測されているので、「中性」で「高濃度」の水素水が作れるというのは間違いありません。
まとめ。かつての「アルカリイオン水」と今の「水素水」は全く別モノといっていい
ということで、
かつての「アルカリイオン水」を水素水と名前を変えて販売されているものと、
今現在主流となっている「水素水」はまったく別モノといってもいいものであることがわかります。
日本医科大学の太田教授は水素水に効果が期待できる水素濃度の目安として「0.8pppm」をあげていらっしゃいますが、アルカリイオン水の水素濃度(0.1〜0.3ppm程度)では遠く及びません。
とはいえ、今現在「水素水」として販売されているものの一部にかつてのアルカリイオン水が含まれているのは事実なので、私たち消費者がより冷静で賢い視点と基準をもって製品を評価していく必要があると思います。