株式会社ガウラの水素吸入器「シルマーレ パルス120」は、「水素吸入をもっと効率的に」というコンセプトを伺わせる目玉機能「パルスシステム」を搭載しています。
パルスシステムとは「息を吐くタイミング」を水素吸入器が自動感知し、水素ガスを無駄なく放出することで「実質3倍の水素吸入が可能」とされているものです。
先日、実際にシルマーレ パルス120を手に取って使用する機会があったため、今回はシルマーレ パルス120の使用感をお伝えしながら、この「革新的」なパルスシステムについても検証してみたいと思います。
水素吸入器の購入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
シルマーレ パルス120のスペック
シルマーレ パルス120のスペックは以下のとおりです。
価格(税込) | 198,000円(税込) |
---|---|
水素ガス発生量 | 120ml/分 |
水素吸入時間(タイマー) | 1時間または2時間 (パルスモードは制限なし) |
水素水は? | 約1分30秒間で1.0ppmの水素水200mlを生成 |
サイズ | 幅130mm×奥行130mm×高さ214mm |
重さ | 1.6Kg |
メンテナンス | 定期的な精製水交換 |
製造国 | 中国(デザインは日本) |
保証期間 | 1年(オプションにより、3年または5年に延長可) |
水素ガス発生量120ml/分で198,000円(税込)はリーズナブルですね。中国製品ならではの価格設定だと思います。
参考記事:リーズナブル・安価な水素吸入器ってどうなの?|水素吸入器の選び方
シルマーレ パルス120の「パルスシステム」の評価は?
個別の特徴について見ていく前に、まずこの製品の一番のウリである「パルスシステム」について見ておきましょう。
「パルスシステム」とは?
パルスシステム(パルスモード)とは、
カニューラから伝わる呼吸をセンサーで感知し、息を吐く間は水素を放出せず内部タンクに溜め、息を吸うタイミングで溜まった水素とその瞬間に発生した水素を一気に放出させるモード
シルマーレ パルス120公式サイト|株式会社ガウラ
というものです。
息を吐くときは水素を溜めて、息を吸うタイミングで溜めた水素をいっきに吸わせるわけね。
シルマーレ パルス120の公式サイトでは、このパルスシステムにより「実質、通常の3倍の水素が吸える」とうたっており、
「水素ガス発生量360ml/分の水素吸入器と同等だ」
としています。
実質3倍という意味は?
実質3倍とはどういうことなのでしょう?
公式サイトの説明によると、
❶ 人が「息を吸う時間」と「息を吐く時間」の比率は1:2
❷ ということは、水素吸入器から放出される水素ガスのうち、「息を吐いている時間に放出される量」=「全体の3分の2の量」はムダになっている
❸パルスシステムでは、その「ムダになっている息を吐いている時間」は水素を放出せずに溜め、「息を吸うタイミング」で溜めた水素を一気に放出するため、「3分の2のムダ」を防ぎ、発生する水素を無駄なく吸える
とされています。
別の言い方をすると、
たとえば水素ガス発生量360ml/分の水素吸入器の場合、吐く時間:3分の2の水素ガス(つまり240ml/分の水素ガス)はムダになっていて、実質的には120ml/分しか吸えていない
シルマーレ パルス120の水素ガス発生量は120ml/分だが、それを無駄なく吸える
だから「水素ガス発生量360ml/分の水素吸入器と同等だ」
というわけですね。
実質3倍というのは本当か
この理論建てはわからなくもないのですが、この理論には、
「通常の(出しっぱなしの)水素吸入の場合、息を吐いているときに放出される水素はすべて無駄になっている」
という大きな前提があります。
「吐くタイミング」の水素ガスはすべてムダになっているのか?という問題
ですが、常識的に考えると、
鼻カニューラ(吸入チューブ)で鼻腔内に送り込まれた水素が
「息を吐くタイミング」ではすべてムダになっている
というのは、ちょっと考えられない気がします。
仮に口から吐けばほぼ影響はないはずですし、鼻から息を吐くとしても、カニューラが鼻腔内に入っている状態で鼻腔内粘膜からの吸収なども考えられ、水素分子のすべてがムダになるというのは無理がある感じがするんですよね。
鼻粘膜は、毛細血管網が発達しており、良好な薬物吸収が期待できます。
株式会社新日本科学
鼻腔内(鼻粘膜)からの吸収について:経鼻薬物送達の現状と将来 |日薬理誌
もしこの理論をもとに「実質3倍」をうたうのであれば、通常の水素吸入器の場合、実際にどれだけの水素ガスが「ムダ」になっているのか?についてエビデンス等で示す必要はあると思います。
というわけで、私個人的には、パルスシステムの「実質3倍」「水素ガス発生量360ml/分の機器と同等」という「メリット」は、いったん保留にして、
水素ガス発生量:120ml/分の通常の水素吸入器(パルスモードを使わず、ノーマルモードにすればそうなります)
として評価するのがいいのかな、と思っています。
実際にパルスシステムを試してみた
「実質3倍とは言えないのでは?」という話はありますが、それはそれとして、実際にパルスシステムを試してみました。
▲「Mode」ボタンで、【パルスモード】と【ノーマルモード】を切り替えできます。
カニューラをつけて水素吸入を始めると、たしかに呼吸を感知してくれるようで、吸うタイミングで「プシュッ」と音がして、溜めた水素を吐き出してくれるのがわかりました。
「プシュッ」音はそれほど大きな音ではありませんでした。ただユーザーの口コミにもありましたが、睡眠時は気になる人もいるかもしれません。
そして「パルスシステム」により、息を吐くタイミングでは放出が止まります。
呼吸を100%感知するわけではない
たまに、息を吐いている間なのに「プシュッ」と音がして水素が放出されるときがありましたが、
これについては、
100%感知できるわけではありませんが、当社で行っている試験結果では、パルス精度は86.2%以上に達しています。
とのことなので、もともと合わないこともあるということですね。
(この時点ですでに「実質3倍」という理論は崩れていますね・・^^;)
「呼吸と水素放出のタイミングが合うかどうかが気になる」という口コミもあり、気になり度合いは個人差があるかもしれません。
個人的にはノーマルモードを使う前提で考えたい
私自身も毎回の呼吸時、タイミングが合うか合わないかに少し気をとられる感じはありました。
先ほど書いたとおり、パルスモードにどれだけメリットがあるのかについて疑問もあるため、もし私が使用するとしたら「ノーマルモード」で使用することがほとんどになるなのかな、と感じました。
シルマーレ パルス120の特徴
それではシルマーレ パルス120の特徴を、以下のポイントに沿ってまとめてみましょう。
- 水素ガス発生量
- 連続して使える時間
- 水素水は作れる?
- メンテナンス方法
- ランニングコスト・コストパフォーマンス
- 安心して購入/使用できるお店(メーカー)か?
❶ シルマーレ パルス120の水素ガス発生量は120ml/分
シルマーレ パルス120の水素ガス発生量は、
- 水素発生量:毎分120ml
となっています。
水素吸入器の水素ガス発生量をどう判断するか?については下の記事で詳しく書いており、
- 250ml/分が一つの基準となる可能性(慶応大の研究)
- 業界団体は「200ml/分以上(200〜640ml/分)」推奨
- がん治療では1200ml/分前後が使用されている
- 多ければ多いほどいいとは言えない(個人的見解)
- ちなみに個人的には100ml/分を使用中、将来的には増やしたい
上記のような内容となっています。
シルマーレ パルス120の
【水素ガス発生量:120ml/分】
は、「もう少しあればいいな・・」とも思いますが、家庭用としてはまずまず充分な量ではないかと思います。
❷ シルマーレ パルス120の連続吸入時間は?
シルマーレ パルス120の連続吸入可能な時間は、
- ノーマルモードでは1時間または2時間
- パルスモードでは制限なし
となっています。
パルスモードの時間制限がないのは、休み休み作動するため、熱を持ちにくいというのがあるかもしれませんね。
「睡眠時に長時間吸入したい」という場合にはパルスモードということになりますが、「パルスモードは睡眠時は音が気になる」という口コミがあったので注意が必要かもしれません。
❸シルマーレ パルス120で水素水は作れる?
シルマーレ パルス120には「水素注入スティック」という部品が付属しており、このスティックを飲料水に浸けることで水素水が生成できるようになっています。
水素水生成機能としては、
コップ1杯分(200ml)の場合、1分30秒で1.0ppmの水素水が生成できる
とされています。
ただ個人的にちょっと引っかかった点があって・・・
通常、水素吸入器から水素を注入して水素水を生成する場合、基本的に「撹拌機能がついた専用ボトル」を使用します。
▲こういうのですね。
水素ガスを水にボコボコ注入するだけでなく、激しく撹拌することで、水に溶けるというわけですね。
それがシルマーレ パルス120の場合は、ただ開放系のコップに入った水の中で水素をボコボコ放出するだけなので、
これでどの程度混ざるんだろう・・?(水素は泡になって水面から出ていってしまうのでは?)
という疑問は少し残りました。
▲密閉もされていない容器に「水素注入スティック」を入れてボコボコ水素を発生させるだけ
❹シルマーレ パルス120のメンテナンス方法は?
シルマーレ パルス120は基本的にメンテナンスフリーとなっています。
そして他の水素吸入器と大きく違うのが、「イオンフィルター(脱イオンフィルター)」がないという点。
そのため「イオンフィルターの交換」も必要ないわけですが、これについてはメリット・デメリット両方があると思います。
イオンフィルターで電解槽を守るのではなく「精製水をより頻繁に交換する」という考え方
精製水を電気分解して水素を発生させるシルマーレ パルス120のようなタイプの水素吸入器の場合、使用しているうちに精製水にイオンが混じり始め、精製水の純度が落ちることで電解槽に負担がかかってしまいます。
それを防ぐために、一般的には「イオンフィルター(脱イオンフィルター)」があるわけですね。
▼イオンフィルターの例(一般的な水素吸入器)
シルマーレ パルス120の場合は、このイオンフィルターを省き、
精製水の純度が落ちたらアラームで知らせ、その時点で精製水をまるごと交換する
というメンテナンス方法をとっています。
そのため「イオンフィルターの交換の手間はないかわりに、精製水そのものを交換する頻度は増える」ということになると思います。
❺シルマーレ パルス120のランニングコストとコストパフォーマンス
シルマーレ パルス120のランニングコストとして必要なのは、
- 随時交換・継ぎ足しする精製水:ドラッグストア等で1本500ml 150円程度
- 消耗品であるカニューラ等交換費用
のみとなっています。
イオンフィルターがないこともあり、ランニングコストはかなり低くなりますね。
また「水素ガス発生量120ml/分」の水素吸入器で198,000円(税込)というのもリーズナブルで、コストパフォーマンスは高いといえます。
ただし中国製という点は考慮する必要があるかもしれません。
参考記事:リーズナブル・安価な水素吸入器ってどうなの?|水素吸入器の選び方
❻ 販売会社・メーカーの信頼性は?
シルマーレ パルス120のデザイン・販売を手掛けるのは、1995年創業の株式会社ガウラです。
ガウラといえば、かつては人気の家庭用水素水サーバーを扱っており、私も株式会社ガウラの「ガウラミニ」という水素水サーバーを今も使用しています。
ガウラミニは現在、廃番となっています。
水素製品を扱っている歴史も長く、顧客対応も非常に丁寧な印象があり、販売会社として信頼性は高い会社だと思います。(今回の「実質3倍」は言い過ぎな面もあると思いますが・・)
メーカーについては中国メーカーということで詳細はわかっていませんが、「脱イオンフィルターなし」「パルスシステム」など、良し悪しは別として、これまでの水素吸入器とは毛色が違うものをつくるメーカーかもしれないですね。
まとめ
以上、今回はシルマーレ パルス120について、主に他機種とは異なる特徴や機能について検証してみました。
シルマーレの「パルスシステム」は『息を吐くタイミングを感知し水素を無駄なく吸入できる』という仕組みですが、「実質3倍」という表現についてはやや言い過ぎな面もあり、吸入時の快適さも含め、パルスシステムの評価については慎重さが必要だと思います。
ただ120ml/分の水素ガス発生量でこの価格は、中国製ならではのリーズナブルさが感じられ、この製品の魅力となっています。
また、契約期間の縛りはありますがレンタルも可能なため、水素吸入を気軽に始めたい方には手が届きやすい製品といえるでしょう。
水素吸入の裾野を広げる一台として注目できる存在だと思います。