2016年12月、水素ガス吸引療法が「先進医療B」として厚労省に認定されました。
このような話題もあって、
水素ガスの吸引の効果は認めるけど、水素水を飲んでもそんな効果ないんでしょ?
という印象をもたれることも多いようです。
たしかに「水素ガス吸引」のほうが「水素水」よりも大量の水素分子を体に取り入れられるのは間違いありません。
では、水素水を飲むこと意味がないのでしょうか?
この疑問について、水素医学研究の第一人者である太田成男教授の説明などを参考に、
- 必ずしも水素水の効果が劣るとはいえない
- むしろ水素水のほうが効果が高いとされている事例もある
という内容についてご紹介してみたいと思います。
臓器へ達する水素濃度は「水素ガス吸入」も「水素水を飲む」のも変わらない?
まず、
- 臓器へ達する水素の濃度は、水素吸入も水素水もそんなに変わらない
という話があります。
日本医科大学の太田成男教授の著書『新・水素水とサビない身体 ここまでわかった水素水最新Q&A』には、以下のように書かれています。
水素の飽和濃度が800μM(1.6ppm)なので、1.3%〜3%の水素ガスを吸入した時の水素の体内濃度は、10μM〜24μMとなるはずです。
別の単位で表すと0.02ppm〜0.048ppm(1リットルあたり20μg〜48μg)です。
では、水素水を飲んだ時の体内濃度はどうなるでしょう?
ラットを使って、体重40kgの人に600ミリリットルの水素水を飲ませた量に対応する量を飲ませます。測定結果では、水素濃度は肝臓で20μMに達することが実測されています。
別の単位で表すと0.04ppm(1リットルあたり40μg)です。この濃度は、3%の水素ガスを吸わせた時の水素濃度とほぼ一致します。
(『新・水素水とサビない身体 ここまでわかった水素水最新Q&A』太田成男著 124Pより引用)
(『新・水素水とサビない身体 ここまでわかった水素水最新Q&A』太田成男著 124Pより引用)
正直詳しい理論的内容は難しくてよくわかりませんが(苦笑)、これらの実験結果から
水素ガスを吸わせた時と、水素水を飲んだ時では、血液や肝臓などの臓器へ到達する水素濃度はあまり違わないのです。
と結論づけられています。
この話はとても新鮮に聞こえました。
もちろん水素濃度は大事
もちろん水素水ならなんでもいいというわけではありません。
この話のなかで太田教授が想定されている水素水の水素濃度は「0.5〜0.8ppm」となっています。
水素水であれば、最低でもこれくらいの濃度以上が必要ということですね。
私たちがふだん飲むことができる水素水の水素濃度は?
ここで私たちがふだん飲むことができる水素水の水素濃度がどれくらいか?というのをざっと確認しておきましょう。
製品名 | 水素濃度 | |
アルミパウチ水素水 | 高濃度水素水 縁 | 1.6ppm(週刊文春実測値) |
南ASOの水素水 | 0.47ppm(週刊文春実測値) | |
アルミボトル水素水 | 伊藤園 水素水H2 | 0.82ppm(週刊文春実測) |
水素水サーバー | ガウラミニ | 0.8〜1.1ppm |
ルルド | 1.2ppm | |
パナソニック還元水素水生成器 (詳細記事) | 〜0.3ppm程度 | |
日本トリム電解水素水整水器 (詳細記事) | 〜0.3ppm程度 | |
携帯水素水生成器 | ポケット (詳細記事) | 0.48ppm(週刊文春実測) |
こうしてみると、同じ「アルミパウチ水素水」でも商品によってずいぶん水素濃度が違いますね。
また水素水サーバーのなかでもパナソニック・日本トリムの「電解水素水」はもともと「アルカリイオン水」と呼ばれているもので、若干性質がことなります。(性質がアルカリ性で水素濃度が低めなど)
有名なメーカーの製品だからといって太田教授の推奨する水素濃度に達しているとは限らないので、注意していただければと思います。
水素水にしかない効果もある?
次に、他の水素摂取方法ではなく「水素水だからこそ」といえるかもしれない効果についてみてみましょう。
水素水を飲むことで分泌が促進されるホルモン「グレリン」「FGF-21」の影響
水素水を飲むことで分泌が促進されるホルモンが2種類あることがわかっています。
- 胃から分泌されるグレリン
- 肝臓から分泌されるFGF-21
この2つのホルモンには、
「成長ホルモンを増やして代謝をあげる」
「脂肪燃焼をうながす」
といったはたらきがあり、動物実験では「水素水を飲むことで内臓脂肪・皮下脂肪がつきにくくなった」という結果がでています。
『分子状水素は、FGF21の分泌を誘発してエネルギー代謝を刺激することにより、マウスの肥満および糖尿病を改善する』
また人を対象にした研究では、62人の健常者に12週間水素水を飲用してもらった二重盲検法による臨床試験の結果として
「水素水を飲むことで、肥満指数、腹部内蔵脂肪および皮下脂肪エリアが有意に減少した」
というものがあります。
こういう研究をみると、ダイエットのために水素水飲んでみようかな、って思えてきちゃう。
まだ「ダイエット効果あります」とはいえないけど、試してみたい気持ちにはなるよね。
パーキンソン病へは「水素吸引よりも水素水のほうが効果が高い」
活性酸素による酸化ストレスが主要因であるパーキンソン病にたいしては、動物実験で水素の有効性が確認された後、人にたいする臨床試験がすすめられています。
これまでに順天堂大学で行われたパイロット試験では
「水素水飲用は人にたいしても改善効果がある」
という結果がでていますが、
「パーキンソン病に関しては水素ガス吸引よりも水素水のほうが効く」
という状況だそうです。
『水素水の効果』が観察されている臨床試験・動物実験の例
また水素水を使った臨床試験でも、人にたいする有意な効果が観察されているものが少なくありません。
その例をいつくかご紹介しましょう。
【健常者対象】水素水でストレス軽減・精神的負荷と疲労の軽減
以下は精神的ストレスや疲労の軽減効果が確認できた臨床試験です。
日常生活におけるストレス、自律神経機能の改善にたいする水素水の効果
31人の成人被験者にたいし、二重盲検法で「0.8-1.2ppmの水素水を1日600mlx4週間」摂取。
その結果・・
【結論として、成人における4週間の水素水投与は、
気分、不安および自律神経機能を改善し、水素水投与がQOLを強化し健康を維持するための有効な方法を提供することを示唆している。】
(参考:Hydrogen-rich water for improvements of mood, anxiety, and autonomic nerve function in daily life)
日常作業、精神的負荷のかかる作業にたいする水素水の疲労軽減効果
24人の成人被験者にたいし、二重盲検法で水素水を4週間摂取。
水素水グループのほうが・・
- 精神的作業のあと、有意に高いリラクセーション指数とモチベーション指数
- 精神的作業中の反応速度が大幅に短縮
をしめした。
これらの影響は水素の抗酸化作用によるものだと考えられる。
最近の研究により、「疲労感」にも活性酸素が関係していることがわかっています。
さらに水素水摂取で分泌が促進される「グレリン」には、副交感神経を優位にして自律神経をととのえる働きもあるので、この作用も疲労軽減につながっている可能性があるかもしれません。
「水素水で細胞の老化を抑制」を初めて確認
また最近の研究では、理論的には期待されていた「細胞の老化抑制」が初めて確認されました。(動物実験)
高濃度水素水が加齢に伴う疾患を予防する可能性
高濃度水素水の継続的な飲用でマウスの血管老化が予防−都健康長寿医療センター
『今回の研究は、分子状水素の投与により、血管内皮細胞の老化が抑制されることを初めて明らかにしたもの。
血管老化はさまざまな疾患の引き金となることから、日常的な高濃度水素水の飲用により脳梗塞や心疾患などの加齢に伴う多くの疾患を抑制できる可能性が示唆され、高齢者の健康長寿に大きく貢献できるものと期待される、と研究グループは述べている。』(医療NEWS)
このあたりの効果は「水素水だから」というわけではありませんが、水素水を飲むことにも意味があることをしめすひとつの例だといえるでしょう。
まとめ
というわけで、今回は「水素ガス吸引は意味があるけど、水素水は無意味じゃないの?」という疑問にたいして、
「そうとはいえないし、むしろ水素水ならではの効果も期待できる可能性がある」
という内容をご紹介してきました。
水素水については水素水そのものではなく「水素水製品を扱う業者」に大きな問題があったこともあり、マイナスのイメージを持っている方も少なくないと思います。
でも水素医学の研究のなかではしっかりとした効果が観察されているのも事実です。
まちがいのない水素水製品を選べば、私たちは「水素水の恩恵」というのも受け取ることができるのだと考えています。
ちなみに敏感体質の私個人の感覚ですが、水素水を飲んだときのすっきり感・気持ちよさは、水素吸引のときとは違った「よい感覚」だと感じています。
【参考文献・ウェブサイト】
「スイスピ」の記事は、以下の書籍・ウェブサイトを参考に書かれています。
ウェブサイト
- 活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット 情報提供 – 厚生労働省(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html)
- 先進医療の各技術の概要|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html)
- 太田成男のちょっと一言(http://shigeo-ohta.com/)
書籍
- 『水素水とサビない身体』太田成男 著/小学館/2013年
- 『水素分子はかなりすごい 生命科学と医療効果の最前線』深井有 著/光文社/2017年
- 『なぜ水素で細胞から若返るのか 抗酸化作用とアンチエイジング』辻直樹著/PHP研究所/2016年
- 『「水素の力」で創出する健康長寿100歳社会 生活習慣病予防と抗老化で若生き人生』森吉臣著/good book/2018年
- 『記憶力 集中力 判断力アップ 水素を吸えば「脳」が変わる』竹原タカシ著/矢田幸博監修/幻冬舎/2018年
- 『ここまでわかった 水素水最新Q&A: 続・水素水とサビない身体 』太田成男著/小学館/2017年
- 『体が若くなる技術』太田成男著/サンマーク出版/2012年
- 『【図解】毛細血管が寿命をのばす』根来秀行 著/青春出版社/2017年