水素水サーバーを検討する際、メーカーへの信頼性を重要視する方は多いと思います。
そこで今回はメーカーへの信頼性は非常に高い、パナソニックの「水素水サーバー」(電解水素水生成器)について詳しく検証してみたいと思います。
「水素水サーバーを導入するならやっぱりパナソニックのような大きな企業の製品が信頼できるのかな・・?」
と検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
「還元水素水生成器」は「アルカリイオン整水器」と同じ?
まずパナソニックの「水素水サーバー」(還元水素水生成器)がどんなものなのか見てきましょう。
パナソニックの公式サイトをみると、「還元水素水生成器」「アルカリイオン整水器」という別々のコーナーがあります。
ややこしいのですが、実はこの2つは同じ仕組みの製品です。
どちらも
- 水を電気分解させて、水素分子を含んだアルカリ性の水(=アルカリイオン水)をつくることができる
- 浄水機能がついている
という機器なんですね。
つまり、パナソニックの還元水素水生成器でつくれるのは「アルカリイオン水」ということです。
アルカリイオン水とは?
アルカリイオン水は水素水とは違うのでしょうか?
アルカリイオン水とは
「水を電気分解したときに陰極側にできるアルカリ性の水」
のこと意味します。
この電気分解のプロセスで生まれた水素分子が含まれることから、
『水素水の一種』ということもできます。
ただし「水素水=アルカリイオン水」ではなく、あくまで「水素水の一部のカテゴリーとしてアルカリイオン水がある」というかたちになります。
詳しくは後述しますが、アルカリイオン水は必然的に0.3ppm程度までしか水素濃度を上げられないのに対し、水素水のなかには飽和限界ぎりぎりの1.6ppmに近い水素濃度のものもあります。
かつてのアルカリイオン水を「還元水素水」とも呼ぶようになった経緯
パナソニックは2007年に水素医学が発展し始めるよりもかなり以前、1980年ごろから「アルカリイオン水」をつくる「アルカリイオン整水器」を販売していました。
そして当時から
「アルカリイオン水には(電気分解の過程で生まれる)水素分子が含まれる」
ということは知られていました。
それが2007年以降、水素分子の医学研究が活発になるのにしたがって、アルカリイオン水を「還元水素水」とも呼ぶようになったようです。
その流れで、従来の「アルカリイオン整水器」ではなく「還元水素水生成器」という名称をつけた製品を販売するようになったんですね。
パナソニックの公式サイトにも「還元水素水とアルカリイオン水は同じものです」という記載があります。
Q.従来のアルカリイオン水と還元水素水とは違うのですか?
“還元水素水”と“アルカリイオン水”の水としての性質は、どちらも同じもので、水素を含んだアルカリ性の水です。
正式名称は、「アルカリ性電解水」になりますが、当社では、”還元水素水生成器“で生成した水を“還元水素水、”アルカリイオン整水器”で生成した水を“アルカリイオン水と呼んでいます。
(出典:「よくあるご質問」パナソニック)
ややこしいですね。笑
要は「パナソニックの還元水素水生成器(=アルカリイオン整水器)」でつくられる水素水はアルカリイオン水だ、ということをおさえておきましょう。
パナソニックの還元水素水生成器の水素濃度について
ではパナソニックの還元水素水生成器でつくられる「水素水」(パナソニックの場合は「アルカリイオン水」でもある)の特徴についてみてみましょう。
「還元水素水=アルカリイオン水」は必然的に水素濃度が低い
パナソニックの機器でつくることができる「還元水素水=アルカリイオン水」は、性質上、水素濃度が比較的低いという避けられない特徴があります。
水素濃度をあげようとすると、アルカリ性が強まる
その理由はアルカリイオン水の生成方法と水素濃度の関係にあります。
還元水素水生成器(=アルカリイオン整水器)でつくる「還元水素水(アルカリイオン水)」の水素濃度を上げていくためには、電解電流をどんどん大きくしていく必要があります。
ところが電解電流を大きくしていくと水素濃度も上がるかわりにアルカリ性も強くなっていってしまいます。
pHが10を超えるようなアルカリ性の水は飲用に適さないため、アルカリイオン水の水素濃度はどうしても比較的低い濃度にとどまってしまうんですね。
実際の水素濃度は?
今現在、パナソニックの公式サイトには還元水素水(アルカリイオン水)の水素濃度が何ppmか?についての記載はありません。
しかし過去のQ&Aコーナーには水素濃度の記載があったようです。
『パナソニックの水素水整水器の水素濃度はどれくらい?|水素水大学』(※現在はリンク切れ)
こちらのサイトでは、過去に掲載されていたパナソニックの還元水素水生成器(アルカリイオン整水器)の水素濃度について記録されていました。
それによると・・・
●アルカリ強、強1、強2(pH10~10.5):0.3~1.3mg/L(ただし飲めない)
●アルカリ3(pH9.5):0.1~0.5ppm
●アルカリ2(pH9.0):0.05~0.2ppm
●アルカリ1(pH8.5):0.02~0.1ppm
となっています。
飲用に適した「還元水素水(アルカリイオン水)」の水素濃度は最高モードでも「0.1~0.5ppm」ということですね。
現在販売されている市販の水素水や水素水サーバーなど他の製法でつくった水素水は、
1.0ppm以上の水素濃度が一般的になってきているのを考えると、やはり水素濃度は比較的低めということになります。
パナソニックの「還元水素水生成器」と「アルカリイオン整水器」の違いは?
同じ原理で同じ種類の水をつくるパナソニックの「還元水素水生成器」と「アルカリイオン整水器」ですが、その違いはどこにあるのでしょうか?
パナソニックの公式サイトには次のよう書かれています。
“還元水素水生成器”は、電極枚数が5枚以上で、かつ、水素チャージ機能の付いた商品です。
(出典:「よくあるご質問」パナソニック)
つまり電気分解の原理は同じですが、
- 電気分解のための電極枚数が5枚以上
- 水素チャージ機能がついている
このような製品を、従来の「アルカリイオン整水器」ではなく「還元水素水生成器」と呼んでいるということですね。
「水素チャージ機能」とは
「還元水素水生成器」だけについているという「水素チャージ機能」は何かというと・・
Q.水素チャージモードとは何ですか?
(出典:「よくあるご質問」パナソニック)
pHが上がりにくい水質などでお使いになる場合に、電解電流を増やし、pHを上げるモードです。電解電流を増やすことにより、水素発生量がアップします。
ということで、「電解電流を強くするモード」ということのようです。
水の質によっては電気分解されにくいケースがあるらしく、そんなときに「より強い電流」を流すことによってしっかりpHをあげていこうということですね。
つまり「水素チャージ」機能があるからといって、飲用還元水素水(アルカリイオン水)の水素濃度を0.1〜0.5ppm以上にあげられるという話ではありません。
「水素濃度の目安」を表示する機能も
「還元水素水生成器」だけの特徴としては他に、
水素濃度の目安をディスプレイ表示する機能
というものもあります。
が、いずれにしても「還元水素水生成器」と「アルカリイオン整水器」の機器としての本質的な違いはないようです。
還元水素水生成器(アルカリイオン整水器)が医療機器である理由

ところでパナソニックの還元水素水(アルカリイオン整水器)は医療機器として認定されています。
「医療機器だから水素水サーバーとしても優れている」というイメージをもたれている方もいるかもしれません。
しかし水素分子の医学研究は進行中のため、まだ国からの認可はおりていません。
この「医療機器としての認可」は何を意味しているのでしょうか?
「アルカリイオン水」としての「胃腸症状への効果」が国に認められている
「水を電気分解してできるアルカリ性の水=アルカリイオン水」については、昭和40年(1965年)に「胃腸症状への効果」が認定されたという古い歴史があります。
つまりパナソニックの機器が医療機器として認定されているのは「水素水生成器」としてではなく「アルカリイオン整水器」としてなんですね。
効果の対象も「胃腸症状」のみとなっており、2007年以降活発になった水素分子の医学研究の内容とはまったく関わりのないものとなっています。
「水素水サーバー」として医療機器認定されているわけではないんですね。
ここまでみてきたパナソニックの「還元水素水生成器」(アルカリイオン整水器)の特徴をまとめると、
- 水素濃度は低め
- アルカリイオン整水器として、胃腸症状への効果が医療機器認定されている
- 浄水機能がついている
となります。
以上のことから、パナソニックの「還元水素水生成器(アルカリイオン整水器)」は「アルカリイオン水の胃腸症状への効果」「浄水機能」を期待する人向けの製品であって、「研究がすすめられつつある水素分子の効果」を期待している方向けとはいえないといえるでしょう。
パナソニックの還元水素水生成器の価格・性能を比較してみる
それでは実際にパナソニックの還元水素水生成器の代表的な機種をみてみたいと思います。
スタンダートモデル「TK-HS90」と還元水素水生成器の主力「TK-HS91」
代表的な「還元水素水生成器」2機種と、参考までに「アルカリイオン整水器」として販売されている1機種を一覧で比較してみます。(機器の原理は同じものになります)
TK-HS90(「還元水素水生成器」) | TK-HS91(「還元水素水生成器」) | TK-7715 (「アルカリイオン整水器」) | |
---|---|---|---|
市場参考価格 | 94,426円〜 | 105,370円〜 | 70,185円〜 |
電極枚数 | 7枚 | 7枚 | 7枚 |
水素チャージ | 2段階 | 3段階 | – |
水素濃度目安表示 | 相対レベル表示 | ppb表示 | – |
ディスプレイ | ◎ | ◎(カラー液晶) | ◎ |
音声ガイド | – | ◎ | – |
浄水機能 | 17物質除去 | 17物質除去 | 13物質除去 |
設定できるpHの種類(酸性〜アルカリ性) | 8種類 pH3.0〜10.5 | 8種類 pH3.0〜10.5 | 8種類 pH3.0〜10.5 |
サイズ | 高さ33.1×幅22×奥行15.4cm | 高さ33.8×幅19.5×奥行14.2cm | 高さ33.1×幅 22×奥行 15.4cm |
こうして比較してみると、やはり「還元水素水生成器」として販売されている機種と、「アルカリイオン整水器」として販売されている機種のあいだには本質的な違いはほとんどありませんね。
電極枚数も設定できるpH(=水素濃度)も同じになっています。
「還元水素水生成器」ならではの「水素チャージ機能」も、先ほどふれたように「電気分解しづらい水質の水」を強力に電気分解するだけなので、あったからといって高濃度水素水が飲めるようになるわけではありません。
(いずれにせよpH10を超えると飲めない水になる)
「音声ガイド」や「フルカラー液晶」といったおまけの部分にこだわらなければ、安価な「アルカリイオン整水器」として販売されている【TK-7715】でも十分同程度の機能が得られそうに思えます。
他の「水素水サーバー」と比較してみると?

胃腸症状に効果のある「アルカリイオン水」を飲むためにはパナソニックの「還元水素水生成器(アルカリイオン整水器)」は向いているといえますが、「水素水」を飲むための機器としてみるとどうなのでしょうか?
他の水素水サーバーと比較してみたいと思います。
代表的な卓上水素水サーバー「ルルド」「ガウラミニ」と比較
同じような大きさの「家庭用卓上水素水サーバー」の代表である「ルルド」「ガウラミニ」と比較すると次のようになります。
機種名 | ![]() TK-HS91(「還元水素水生成器」) | ルルド | ![]() ガウラミニ |
---|---|---|---|
市場参考価格 (2017/1「価格.com」参照・税込) | 105,370円〜 | 148,000円 | 148,000円 レンタル:4,980円/月 |
水素濃度目安 | 0.02〜0.5ppm (設定pHによる) | 1.2ppm | 1.0ppm |
給水方法 | 蛇口や分岐水栓に取付 | ピッチャー汲み入れ | ピッチャー汲み入れ |
浄水機能 | 17物質除去 | なし | 塩素除去 (活性炭フィルター) |
水の性質 | アルカリ性が強い | 中性 | 中性 |
ミネラル分が多い | |||
注意点 | 乳幼児・ペット・腎臓に持病がある方などは要注意 | ||
サイズ | 幅22×奥行15.4cm×高さ33.1 | 幅31.6×奥行16cm ×高さ27 | 幅18×奥行38cm ×高さ33.9 |
水素濃度は「水素水サーバー」のほうが高く、水質も「中性」
パナソニックの機器はもともと「アルカリイオン水をつくるためのアルカリイオン整水器」なので「水素水をつくることを目的とした水素水サーバー」(ルルド、ガウラミニ)のほうが水素濃度は高くなっています。
またルルド、ガウラミニは水を単純に電気分解するというのではなく、それぞれ水素水生成方法が工夫されており、「高濃度」で「中性」の水素水が生成できるようになっています。
「水素水サーバー」としての性能は、やはり水素水生成を本来の目的とした機器のほうが高いようですね。
ちなみにパナソニックTK-HS91の水素濃度の低さについては週刊文春での水素水特集でもとりあげられています。
週刊文春2016年8月11/18日号より
価格と浄水機能を重視するならパナソニック
「水素はおまけ程度でいい」ということであれば、浄水機能と価格面でパナソニックに優位性があります。
ここで比較している最上級機「TK-HS91」の場合、実売価格で4万円ほど「ルルド」「ガウラミニ」より安くなっており、アルカリイオン整水器のTK-7715あたりを選べばさらに安くなります。
またガウラミニには塩素除去機能がついていますが、浄水フィルターの性能的にはパナソニックのほうが優れています。
「水素よりも浄水機能が大事」という方であればパナソニックを選ぶのもありといえるでしょう。
「アルカリイオン水」であることによる注意点も
- アルカリ性が強い(pH9.5程度)
- カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウムなどミネラル分が多く含まれる
パナソニックの機器を選ぶ場合にはひとつ注意点があります。
パナソニックの還元水素水生成器(アルカリイオン整水器)でできる「水素水」はアルカリイオン水のことですが、このアルカリイオン水には
という特徴があります。
そのため、飲用については
- 腎臓や肝臓に持病がある方は医師に相談が必要
- 乳幼児には飲ませない(浄水機能のみ使用する)
といった注意が必要になるんですね。
(参考:よくあるご質問|パナソニック)
また「ミネラル分が多い」ということからペットにも与えないほうがいいと考えられます。
犬や猫の死因のなかでは「腎不全」が大きな割合をしめますが、ミネラル分の多い水は腎臓に負担をかける可能性があります。
ペットの腎不全対策に水素水サーバーの導入を検討される方も多くいらっしゃいますが、そのような方はパナソニックの機器は避けたほうが賢明です。

まとめ
以上、今回はパナソニックの「還元水素水生成器」(アルカリイオン整水器)の「水素水サーバーとしての」実力について検証してみましたが、いかがでしたでしょうか?
「パナソニックだから信用できそう」
という印象は多くの方がもっていると思いますが、こと「水素水サーバーとしての実力」に関していうと、必ずしもパナソニックの機器がいいとはいえません。
これはパナソニックの機器がもともと水素水の生成を目的に開発されたものではなく、アルカリイオン整水器でつくったアルカリイオン水に水素分子が含まれることから
- 「アルカリイオン水」を「還元水素水」に
- 「アルカリイオン整水器」を「還元水素水生成器」に
と、名前を変えて呼ぶようになったという事情があるからです。
2007年以降研究がすすめられている「水素分子の医学研究」をもとに水素水サーバーの導入を検討されているのであれば、やはり水素水生成を本来の目的としてつくられた「専門的な水素水サーバー」を選ぶことをおすすめしたいと思います。